dawn patrol

好感度120%!
オランダのAORユニット:マーティン&ガープが
進化する形でスタートした5人組、ドーン・パトロールのデビュー・アルバム。
スティーリー・ダンへのリスペクトを示しながらも、
欧州のグループらしい思慮深さやヨット・ロック世代らしいムードを持ったサウンドが
サイコーです。


このドーン・パトロールが誕生したキッカケは、まさにマーティン&ガープのアルバム『SENTIMENTAL FOOLS』だった。この作品に反応して、「自分たちも新しいプロジェクトを始めたい」とフィル・マーティンにプロデュースを直訴してきたのが、リック・ヴァン・ダー・オーとルード・ヴァン・ハルダー。彼らはロッテルダムを拠点にする3管入り8ピースの強力ジャズ・フュージョン・バンド:マルティリ(Marutyri)の主力メンバーである。彼らのプレイを聴いてその気になったフィルは、相方のシンガー:ガープに声を掛け、リックとルードはベール・トラアにヴォーカルを依頼した。もともとルードはヴォーカルも取れるから、シンガー3人という強力ユニットになったそうだ。

「僕らがユニークなのは、全員がソングライティングに携わっているところ。ヴォーカル3人はみんなそれぞれに違った個性の声を持っているけど、一緒に歌い始めるとハーモニーのマジックが起きる。僕らはみんな、フリートウッド・マックやイーグルス、クロスビー・スティルス&ナッシュ、ドゥービー・ブラザーズといったバンドのファン。すべて異なる声を持ったバンドだよね」(フィル・マーティン)

マーティン&ガープとの違いは、ドーン・パトロールの方が少しジャジーで、ハーモニーも実験的。インスト・バンドに在籍するメンバーが多いためか、ソロ・プレイなどの演奏面にもたっぷり比重が割かれている。マーティン&ガープではシンセを使うところを、ドーン・パトロールでは意識的にホーンを多くしたそうだ。アルバム一番の長尺曲<Nostalgia>では、スティーリー・ダンへのシンパシー、特に名曲<Aja>のストラクチャーをそのまま引用したかのような大胆さにビックリさせられる。

「この夏はドーン・パトロールでいくつかフェスティヴァルに出演して、その後クラブ・ツアーをするつもりなんだ。僕はドーン・パトロールを単なるプロジェクトでなく、本当にバンドだと思っているんだよ」

来月もフィルがプロデュースするアイルランドのアーティスト:ザカリー・クロフォードの本邦デビューが控えているが、一時のブルーイを髣髴させる活躍ぶりに、どうぞお乗り遅れずなく。