colin blunstone

元ゾンビーズ、コリン・ブランストーンの1stソロ・アルバムにして名盤『ONE YEAR(一年間)』の、50周年記念盤エディション。一般的に英国ポップス〜ソフト・ロック好きに評価の高いアルバムだけれど、それよりもっと大きいスケール、それこそポップ・ミュージック史上において、これほど芸術的で儚く美しいアルバムはないのではないか、と思ってしまう。当時は<Say You Don't Mind(構わないと言って)>が全英15位になった程度だったし、初CD化も1995年と決して早くなかったが、ストリング・セクションを起用しての室内楽的アレンジは、例えば、ELOあたりにも影響を与えたと思われる。

タイトルは、このアルバムがコリン自身の70年7月からの1年間を歌い綴った作品だから。バックには、ゾンビーズ仲間のロッド・アージェントとクリス・ホワイトを中心に結成されたアージェントの面々。つまり、ラス・バラードも参加している。面白いコトに、アルバム発表後のツアーはELOのオープニング・アクトとしてで、ストリング・クインテットも同行していたそうだ。

この50周年盤は、オリジナルの10曲の最新リマスターに、初出の14曲を追加収録したもの。2010年の紙ジャケ盤にシングル曲のモノ・ヴァージョン2曲がボーナス収録されたことがあるが、それとは別の楽曲群だ。中にはロッドのピアノを従えた<Caroline Goodbye> <Let Me Come Closer To You>、ダンカン・ブラウンのギターが入った<Though You Are Far Away>のデモ・トラックがあったり、次作『ENNISMORE』に入る楽曲のデモがあったり。ほとんどはコリン自身のギターの弾き語りによるラフ・スケッチみたいな音源だが、これはストリングスのバックで聴きたかった!と思わせてくれる楽曲も。

ストリングスとの共演というアイディアと、その緻密なアレンジばかりが評価の対象になりがちだが、まずはコリンの凛とした佇まいのヴォーカルと楽曲の良さがあってこそ。それを改めて知らしめる50周年記念盤なのである。