fields

前日のアフィニティの余韻で、またしてもブリティッシュ・ロック/プログレ系のフィールズ、71年発表の唯一のアルバムを。メンバーは元レア・バードのグラハム・フィールド(kyd)、元キング・クリムゾンのアンドリュー・マカロック(ds)、そして当時売り出し中だったアラン・バリー(g, b. vo)というキーボード・トリオ。3人とも英国ドーセット州出身で、同郷ロバート・フリップの人脈に近い、というのがポイントだろう。

キーボード・トリオなので、サウンド的にもザ・ナイスやエマーソン・レイク&パーマーを髣髴させるところが多々。なのにプログレ方面では、それほど評価が高くない。元々レア・バードは、ダブル・キーボードを軸としたサイケなオルガン・ポップをプログレ方面に展開させたグループなので、プログレとしては立ち位置が微妙。そこから脱退しての新グループで、プロコル・ハルムに通じるような叙情性を増幅させた。鍵盤メインでもキース・エマーソンのようなクラシックかぶれではなく、メロディ思考が強いようで、その辺りが攻撃的なプログレを好む向きには敬遠されるのかも知れない。

でも、プログレ好きでも、さほどそこに固執しないヴァーサタイルなUKロック・ファンには、その多様性こそが聴きやすさに繋がる。シンフォニックとは違う意味でのリリカルさ、時にファンキーなグルーヴを感じさせたりも。ELPのように、シーンをリードしていくような革新性は乏しくも、あまり構えずに聴ける薄口のELPというか。

演奏面でも看板はもちろんグラハム・フィールドのオルガン・プレイに他ならないが、技巧派として知られるマカロックの手数ドラムが素晴らしく、この後に参加するグリーンスレイドと共に聴き逃せない。そりゃークリムゾンでの前任マイケル・ジャイルズの派手なドラミングには敵わない。が、少なくてもカール・パーマーの鼓笛隊ドラムよりは数段上のカッコ良さ。パーマーのマーチング・ドラムはELP以外にはハマらないけど、マカロックはフィルの組み立てとか、キックのシンコペーションの挿し方とか、すごくセンスが良いと思う。もっともフィールドのヴォーカルは、さすがにグレッグ・レイクの美声には太刀打ちできないけれど…。

いま手元にあるのは、唯一のオリジナル作『FIELDS』(2曲ボーナス入り紙ジャケ盤)と、2015年に陽の目を見た幻の2nd『CONTRASTS』。でも最近、この2作にさらなるボーナス曲を追加したコンプリート盤が出たようで。まぁ、自分はバラでも充分だけどな…