velvet underground

突然のスマホ故障で、朝からあたふた。実は2日前に画面が急に真っ暗になり、再起動もせずで、アップル・サポートに連絡。リカヴァーして復活したものの、わずか2日で再発。再びサポートにコンタクトしたものの今度はリカヴァーできず、1時間以上かけて初期化対応。その後もアプリを復活させて一旦は元通りになったものの、数時間も経たずに3度目の暗黒状態で元の木阿弥。結局ソフトではなく本体の異常というコトで、修理に持っていくことになった。スマホを持つのが日常になったのなんて、そう昔のコトではないのに、この不便さ、手持ち無沙汰加減は何なのだ? こういう些細なところでも、平穏な日常を奪われたウクライナの避難民の悲劇を思いやってしまう。

そういえば、先週9日にNHK『映像の世界〜バラフライ・エフェクト』でオンエアされた『ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー』は、メチャ勉強になった。

番宣によれば…

ソ連に軍事侵攻をされながらも20年間、抵抗を続けた国・チェコスロバキア。人々は長く暗い冬の時代を耐え、1989年「ビロード革命・ヴェルベット・レボルーション」を果たす。その陰には、革命と同じ名を持つアメリカのロックバンドの存在があった。「ヴェルヴェットアンダーグラウンド」である。すべての始まりは、革命家がそのバンドのレコードを手に入れたことだった。音楽が、時空を越えて世界を変えた奇跡の物語である。

このビロード革命で共産党政権を崩壊させて大統領に就任した劇作家ヴァーツラフ・ハヴェルが、ルー・リードと関係があったことは小耳に挟んでいたけれど、実際のところがどうだったのか。それがこのドキュメンタリーでよく分かる。と同時に、音楽と社会・政治の関係性に於いても、とても示唆に富んだ番組だった。

日本には「音楽に政治を持ち込むな」という論調があって、コトあるごとに浮上してくる。確かに音楽で直接政治を変えることなど不可能だろう。でもヒトの心を動かすことはできるワケで、モチヴェーションにはなり得る。逆に何も考えずに世の流れに身を任せていると、気づいた時には兵士として戦場に送り込まれているかもヨ、というコトだ。右だの左だの、というコトではなく、まずは自分たちの次世代の未来を真剣に考えなくては。

ついでに言うと、やはりNHKで現在放映中の『17才の帝国』、偶然見たらメチャ面白いでないの。衰退著しい日本に立ち上げられた理想郷構想:通称UA (ウーア)で、統治者に指名された高校生が、未熟ながらも理想の社会を求めて悪戦苦闘していく物語。癒着まみれで金権体質という旧態然とした議会を解散させ、地元の声を聞いて旧行政が進めていた巨大再開発プロジェクトをスッパリ白紙に戻させる。こういうの、今の日本の政治にそのまま必要なコトだよな。

エンターテイメント、娯楽としての音楽。もちろんそれはそのままでいい。でも音楽には人の心や精神を覚醒させていく面だってある。時と場所をわきまえる必要はあるにしても、「音楽に政治を持ち込むな」という言いようは、世の中の動きに無関心な人間を増やすだけだと思うな。

…というワケで、ヴェルヴェットやルー・リードはもう少しチャンと聴かないとイカンな、と。15年前のレココレ誌ランキング企画『60年代のロック・アルバム100』で12位だった通称バナナが、今年の5月号『60年代のロック・アルバム200』で堂々1位というのも、やはり世相を反映しているとしか思えない。

ちなみに『ヴェルヴェットの奇跡 革命家とロックシンガー』は、5月19日(木)午前0:25 からNHK総合で再放送予定。社会派ロック・ファンはお見逃しなく。