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AORファン待望、ようやくニールセン/ピアソンの残した3枚のアルバムが、紙ジャケ復刻で出揃った。例によって韓国 Big Pinkのお仕事の、国内流通盤仕様。ジャケット周りのプロダクツは日本に比べて完成度が劣ってしまうが、出ないよりは全然イイだろう。3rd 『BLIND LUCK』ジャケ裏のメンバー・クレジットは潰れてしまって読めないので、拙解説の裏面でシッカリ再現。 98年の2nd / 3rd の初CD化2in1盤は、それこそ超プレミアの激レアだが、アナログならレア・グルーヴ方面で人気の2ndがやや高価なだけで、それ以外は案外ロー・プライスでゲット可能。それがこのユニットの現在の評価を象徴している。ちなみにその2作目の紙ジャケCDは、半年ほど前に先行発売されていて、こちらのポストで紹介済みだ。

AOR好きの間では一般的に、ソングライターズ・ユニットとして浸透しているリード・リールセンとマーク・ピアソンによるこのコンビ。でも『THE NILESEN PEARSON BAND』名義でエピックから登場した78年の1st 時点では、名前通り、ギターとキーボードをこなす彼らにベースとドラムを加えた4人編成だった。彼らを見出してデビューさせたのは、ジャズ・フュージョン系プロデューサーでゼンブ・プロダクションを主宰するスキップ・ドリンクウォーター。当時のロック・アクトは、ライヴ活動でプロモーション展開するのがセオリーだから、そうした動きやすさを考慮したのだろう。レコーディング・セッションには、コーラスでファラガー・ブラザーズ、タワー・オブ・パワーのサックス:レニー・ピケット、ソロ作も出していたハーモニカ奏者ノートン・バッファロー、kyd奏者のマーク・ジョーダン(AORシンガーとは別人)らも参加し、微妙に毛色の異なる2人のリード・ヴォーカルをフィーチャーしている。

実際のサウンドは、後続2作よりもシンガー・ソングライター色が強く、時にはカントリー・フレイヴァー漂う朗らかな出来栄え。バンド編成で作ったアルバムなのに、中身はあまりバンドっぽくない。今までのところ、2人で交互にヴォーカルをとるポップ・ミディアムのシングル曲<Home>が、コンピCDに収録されたのが唯一の銀盤化だった。でも畳み掛けるようなアンサンブルと、スケール感あるアレンジが効いているロック・チューン<I Need A Song>も悪くはない。とりわけ、ファラガー3兄弟が厚みのあるハーモニーを聴かせるノスタルジックなハチロク・バラード<Pack Up Your Goodbyes>、メンバー4人+ファラガーズのアカペラで始まるブルー・アイド・ソウル<Down To The River>は、後のニールセン/ピアソンからは想像し難い初期ならではの貴重なナンバー。哀愁メロディがさっぱり風味のアコースティック・サウンドに乗せて歌われる<For All Time>なんて、実は隠れた名曲と言える。今回の初CD化で久しぶりにジックリ聴き直し、ジンワリ滋味なテイストのアルバムだと実感したが、後続2作がキレ味鋭い作風なので、やはり分が悪いのは致し方ないか。

その後キャピトルからUSコロムビアへ移籍し、デュオ・チームにシェイプして出したのが、83年の3作目『BLIND LUCK』だ。前作が内容の充実度に反して期待したほどの成績を上げられず、その後は様々な試行錯誤。このアルバムも当初は『ATOMIC CAFE』というタイトルでリリースされるはずだったらしい。ところが、前作からのプロデューサー:リチャード・ランディスが途中降板。エンジニアのビル・シュニーが後を引き継ぐカタチで完成を見ている。だから演奏陣も2組に大別され、ランディス担当の3曲、<Lauralei><Expectations><Got Me Where You Want Me>は、ヴィニー・カリウタ、ニール・スチューベンハウス、チャールズ・イカルス・ジョンソン、ジェイ・ワインディングにバンド期のメンバーだったジョン・ボーウェン他という、ほぼ前作と同じラインアップ。一方のシュニー陣営は、ベースのスチューベンハウスだけが替わらず、他はカルロス・ヴェガ、マイケル・ランドウ、ロビー・ブキャナン、レニー・カストロなどが参加した。<Hasty Heart><Fadeaway>にはスティーヴ・ルカサーが豪放ギター・ソロで乱入。曲によってはイカルスも参加している。バック・ヴォーカルではジョー・シャーメイの名も。

こうした2組の楽曲群が違和感なく同居しているのが、本作の大きな魅力だ。ドタバタ劇を挟んで、逆に2人の目指すスタイルが明確になったのだろう。その表れが、自分たちとセンスが共通するカナダの若手シンガー・ソングライター:デヴィッド・ロバーツの<Too Good To Last>を取り上げたこと。ダイナミズムと繊細さが同居するサウンド・メイクも、ペイジスやマクサスを髣髴させる。シングルに切られた<Hasty Heart>を筆頭に、ハズした楽曲が一切ない。これがヒットしていれば良かったのだが、日本や北欧で現カルト的人気を誇るペイジスでさえ、当時は成功しなかった。

結局ニールセン/ピアソンは、この3作目を以ってコンビ解消。リード・ニールセンはソングライターとして、ジュース・ニュートンやポコ、エディ・ラビット、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、ケニー・ロジャース、ヴィンス・ギル、ビリー・レイ・サイラスなど、主にポップ・カントリー方面で活躍していく。そうしたマニア好みの職人ユニットのひとつが、このニールセン/ピアソン。ペイジス好きでこのチームをチェックしていない方は、今回のリイシュー、絶対に乗り遅れないように