city pop_piano

ヒーリング・レーベルが手掛けた、ソロ・ピアノによるシティ・ポップ楽曲集。このところドタバタが続いていたので、縁あって頂戴したこのCDがリフレッシュに役に立った。一見すると、シティ・ポップと言い切るにはビミョーな選曲もあるんだけれど、アコースティック・ピアノ一本で楽曲のメロディを描き出しやすく、それでいてリスナーもよく知っているような楽曲を慎重に選んでいるらしい。

いま世界中で再評価の波に乗っているシティ・ポップは、ダンス・ビートがキモ。それがあるから、アーバン・ポップなアイドル歌謡が一緒にされる。でもココで使われる楽器は、ピアノ一本。しかも癒し効果を醸し出さねばならない。

そこでシティ・ポップの持つ別の側面に焦点が当てられた。それは、海外ウケするシティ・ポップとはある意味真逆の、日本的哀愁メロディ感と、当時のヒットを曲を知っている人の脳裏に残る歌詞の潜在的イメージを呼び覚すこと。<プラスティック・ラヴ>や<真夜中のドア~Stay With Me>といった人気曲はあるものの、他の楽曲のメロディは、どれも日本人ならではの哀愁感をソソるものだ。

我々はよく、ガラパゴスだと自嘲的に自己批判するけれど、シティ・ポップは日本発信の音楽。ガラパゴスに何も意味もない。海外のシティ・ポップス好きは、その表層的なグルーヴをすくい取って狂喜しているだけ。そのメロディが持つウェットな響き、心に残る歌詞の本質は、我々日本人にしか分からないモノだろう。

1. ルビーの指環
2. 中央フリーウェイ
3. プラスティック・ラヴ
4. DOWN TOWN
5. 夏のクラクション
6. 君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-
7. ふたりの夏物語
8. 飾りじゃないのよ涙は
9. あまく危険な香り
10. ロンリー・チャップリン
11. 真夜中のドア~Stay With Me
12. 夢で逢えたら