positive force2

レア・グルーヴ方面で発掘されてDJ諸氏の間で垂涎のマトとなったプライヴェート・プレス盤、ポシティヴ・フォース feat. デニス・ヴァリン。その83年盤がCD化、次いでアナログ盤で復刻されて大評判となったのは、今から4年前の2018年のコトだった(当時のポスト)。ファンク系にも同名バンドがいるが、こちらはL.A.拠点の4人組で、クロスオーヴァー・フュージョン指向。ジャケの通りになかなかの美形女性シンガー:デニス・ヴァリンをフィーチャーし、シーウインドやCCM系のオメガ・サンライズあたりを髣髴させる音で、AOR系やジャズ・ファンク好きにかなりの熱い視線を浴びた。

彼らは80年代終盤まで一緒にプレイしていたそうだが、その後はバラバラに。それがこの復刻を機に再集結。新しいアルバムを作るべく、復刻の翌年に当たる2019年10月に集まったメンバーでリズム・トラックがレコーディングされた。当初コンタクトが取れなかったヴォーカルのデニスも、リズム・トラックを録った後に顔を出し、音をチェック。しかし彼女は長いこと歌から離れていたため、必要な音域を取り戻すには時間が必要と自己判断。残念ながら参加を見送り、その代わりにセッション歴も豊富なレスリー・ペイジが合流することになった。

レスリーはリンゴ・スターやジョー・ウォルシュ、ヴィンス・ギル、リック・スプリングフィールド、リチャード・マークスらのサポート経験を持ち、TV やCM、映画などでもたくさん歌っているそうで、ジャズ・ヴォーカルのソロ・アルバムも出しているほど。既にレコーディングされたリズム・トラックにヴォーカルを入れるカタチだったため、自分のキーで歌うことはできなかったが、そこはサスガに実力派。ほぼ一日で、難なく歌入れを終えてしまったという。

アルバムに収録された7曲中4曲は、85年当時にデモ録音してあった楽曲とか。元々リズム・セクションを持たないバンドで、1作目には程なくチック・コリアに目を付けられるジョン・パティトゥッチ(b)とエリック・マリエンサル(sax)が参加。対してこの新作では、チャド・ワッカーマン(ds)、アレックス・アクーニャ(perc)といった有名どころがプレイしている。ベースのトレイ・ヘンリーは、ウッドも得意とするジャズ畑のプレイヤーで、フローラ・プリムやトロンボーン奏者ビル・ワトラスのほか、レイ・チャールズやロッド・スチュワート、パティ・ラベル、ナタリー・コールにファーギー(ブラック・アイド・ピーズ)など、ポップ・アーティストのジャズ・スタンダード作でプレイしている人だ。

レア・グルーヴ好きには、新録というだけで触手を引っ込めてしまう人が少なくないが、前作を気に入った人なら、そう違いはないはず。アートワークが前作の雰囲気を継承しているように、34年前に中断したデモ制作が、ほぼそのまま、ココに完成を見たのである。

CD発売はもう間も無くの今週15日。アナログ盤は8月に準備中。どちらも要チェックよ