Suzuki_Shigeru_2022_6_cottonclub

齢70を超えたレジェンドが、いま第2キャリアの絶頂期に立つ。
それは最近のステージでのギター・ワークを聴いて痛切に感じたこと。
日本のポップ・シーンを裏で支えた信じ難い顔ぶれによる同級生バンド:SKYE(小原礼・
林立夫・松任谷正隆)結成や、約四半世紀ぶりにソロ・アルバムを制作中というのも、
当人がそれを実感しているから。
キャリア初期を現在のスタイルで総括するライヴ・パフォーマンスが、
今から楽しみでならない。


自分がそんなコメントを寄せたスペシャル・ライヴ、鈴木茂 『2022年のBAND WAGON』を、丸の内コットン・クラブ(2nd Show)で観た。ここしばらくはかなり積極的なライヴ活動を展開している茂さんながら、ここコットン・クラブは初登場になる。

今回のメンバーは、当人以下、中西康晴・松本圭司・西山ケインというトリプル・キーボードに、宮田岳 (b)、長谷部徹(ds)というちょっぴりヒネった編成。でも茂さん自身はこのフォーマットがお気に入りらしく、SNSには「トリプル・キーボードのライブは楽しくて止められない、止まらない、です」と書き込んでいる。

セットはタイトル通りに『BAND WAGON』収録曲を中心に構成。そこへ『LAGOON』からの<LADY PINK PANTHER>、ティン・パン・アレー<ソバカスのある少女>、それにホール・ツアーが間近に控えるSKYEのアルバムに新録で収めた、はっぴいえんど時代の未発表曲<ちぎれ雲>も。本人がハマっているという通り、トリプル・キーボードの分厚いサウンドは迫力たっぷり。このヴェニューに何十回となく足を運んでいる自分でさえ、ココでこんな爆音を聴いた記憶はなく、ドラムなどは音壁に埋もれてしまいがちなほどだった。が、その音圧には終始圧倒されっぱなしで。その中でも流麗に滑っていくスライド・ギターの響きは、サスガと思わされた。もともと歌の上手い人じゃないけど、頻繁にライヴをやっているだけあって声は出ていて、今まで自分が観た中では、かなり良き印象。普段から頻繁にギターを持ち替える人だけれど、今回はお馴染みのオレンジの62年ストラトキャスターやファイアーバードに加え、アンコールではフライングVまで登場。自分的には、茂さんがコレを弾くのは初めて観た。そしてラストの<砂の女>で、ダイナミックにエピローグ。

コットン・クラブ初見参は、本人的にも「雰囲気がいい」と刺さったようで、いずれ再演もありそう。待望のニュー・アルバムは曲作りで四苦八苦しているみたいだが、調子は良さそうなのでジックリ待ちたい。

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