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6月22日にドカンと発売されたユニバーサル・ミュージックのソウル系廉価再発シリーズ【Throwback Soul ソウル/ファン定番・裏名盤・入手困難盤 70年代~打ち込み前夜編】全48タイトル。ラインナップに関しては、こちらをご参照いただきたいが、タイトル通りに世界初CD化、日本初CD化に加え、入手困難盤もと、なかなか面白いアイテムが含まれているので、順次ご紹介していきたい。まずは自分的なハイライト、白黒混成8人組ファンク・グループ:スモークのワン&オンリー作品『SMOKE』(76年)の世界初CD化だ。

スモークは、クルセイダーズのトロンボーン奏者ウェイン・ヘンダーソンが主宰するアット・ホーム・プロダクションズから登場したカリフォルニアのジャズ・ファンク・バンド。きっとプレジャーの弟分的存在と思われ、同じアット・ホームの兄弟バンド:サイド・エフェクトやL.A.ボッパーズのメンバーもサポート参加している。デビューしたのは、カサブランカ傘下のチュコレート・シティ・レーベル。同じ名前のヴォーカル・グループがいたためか、すぐさま Black Smoke 名義のアルバムが出し直されるなど、ちょっと謎の多い連中だ。解説によれば、このバンドを最初に発掘したのはバリー・ホワイトらしく、元々は前年に担当したB級アクション映画のサウンドトラックが発展してのアルバム制作だったらしい。全曲ギターのマイケル・フィッシャーのペンで、マイケルとその弟アンソニー(トニー)・フィッシャー(b)が中心になっていたようだ。

レア・グルーヴ人気の高い軽快疾走トラック<What Goes Around Comes Around>、涼やかなストリングスと大所帯コーラスに導かれて次第にアガっていく<Sunshine Roses And Rainbows>、フルートとオーケストラが舞い立つ<Freedom Of The Mind>など、後半にAORファンにも歓迎されそうなマリン・グルーヴ系好曲が多数。対して前半は小気味良いファンク・ナンバーが中心で、タワー・オブ・パワーにジョージ・デュークが乱入したようなインスト・チューン<There It Is>(コーラス入り)もある。スロウ・バラード<You Needn't Worry Now>は、00年代以降サンプル使用が増えているそうだ。

アット・ホーム所轄のアーティストが多数在籍した Fantasy レーベルのCD化が遅れているが、まずはスモーク、是非チェックを。あ、自分が以前ライナーを書いたルーファス&チャカ・カーン『MASTERJAM』も、その解説が再利用されてのリイシューです。