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また一人、知る人ぞ知る職人ミュージシャンが鬼籍に入ってしまった。最近はブルース・ギタリストとして扱われる機会が多かった、カル・デヴィッド。それ誰?と言う人も少なくないと思うが、AOR好きは絶対彼のプレイを耳にしているはず。ロビー・デュプリーの代表曲<Steal Away>の印象的なエレクトリック・シタール、アレを弾いていたのが彼である。最近も奥様でミュージシャンのローリーと共に、地元クラブでステージに歌っていたそう。8月16日、パームスプリングスの自宅で肺炎の合併症により亡くなった。享年79歳。

カルはシカゴ出身で、ピーター・セテラ、マーティ・グレッブら4人でジ・エクセプションズを結成。イリノイ界隈で人気を得た。カルは64年頃にグループを抜け、後にポコに加入するポール・コットンとイリノイ・スピード・プレスを結成。カルの後任にはジェイムス・ヴィンセント(後にアステカ〜ソロ)が加入するが、その後マーティがザ・バッキンガムズに引き抜かれ、ピーターはシカゴの前身ザ・ビッグ・シングに合流していく。

イリノイ・スピード・プレスがアルバム2枚で解散すると、カルは再びマーティと合流し、ファビュラス・ラインストーンズを結成、名称短縮を経て3枚のアルバムを発表。ウッドストックを拠点にしていたため、オーリアンズやクラッキンのメンバーとは近しい存在だった。ラインストーンズの最終ラインアップには、クリス・パーカーの弟でジョン・ホール・バンドに参加するエリック・パーカー(ds)、オーリアンズのメンバーとなるボブ・ラインバック(kyd)も在籍。80年代はジョン・メイオールと活動し、90年代前半に入ると、ギタリスト:ティム・ウェストンの制作で『NEVER A DULL MOMENT』『DOUBLE TUFF』を発表した。その中身は、ベン・シドランとスティーリー・ダン、エリック・クラプトンをミックスしたような、洒脱なオトナのブルース・ロック。2作目にはタワー・オブ・パワーの面々も参加している。そしてその後はパームスプリングに落ち着き、一時は自分のライヴ・ハウスを運営していたそうだ。

こうした名もなき職人ミュージシャンの存在があったからこそ、今の音楽シーンがある。それはいつまでも忘れずにいたいところだ。

Rest in Peace...