kumiko hara 1st

【CITY POP Selections by UNIVERSAL MUSIC】第2弾からもう1枚。原久美子の1stアルバム『NO SMOKING』。初CD化は、タワーレコードとのコラボ【Light Mellow's Picks】で、ついこの前のように感じていたけど、実はもう8〜9年経っているのね。光陰矢の如し。ならば廉価リイシューも当然のコト。最近では山下達郎の楽曲提供があった2nd 『熱風』、やはりタツロー・ファミリーの参加がある3rd 『UNHAPPY BIRTHDAY』がアナログ化されていたけど、やっぱりこのシンガーの本質が一番ハッキリあらわれているのは、78年発表のコレではないかな?


同姓同名のグラビア女優がいたり、「子」のつかないボサノヴァ・シンガーがいたりするけれど、この人は80年前後に3枚のアルバムを出したブラインドの女性シンガー。ジャズやソウルに影響を受けた本格派で、東京音大付属卒。アーティスト活動を行なっていた頃は、まだ多少は視力があったらしく、それなりにライヴ活動やツアーを行なっていたらしい。表舞台から去って以降はヴォイス・トレーナーとして活動したが、05年に齢50で没している。

バックのコア・メンバーは、荒井時代のユーミンを支えたダディー・オーの平野融&肇兄弟と、芸大出のセッション・キーボード奏者で、カリオカにも参加した乾裕樹、そしてギターの笛吹利明。でも楽曲によってビックリするような顔ぶれが参加していて。特にオープナー<スペース・ドライヴ>は、高中正義アレンジで、坂本龍一・高水健司・村上ポンタ秀一・浜口茂外也と、まるで『TAKANAKA II』みたいな陣容。夜空を滑空するようなスピード感が素晴らしく、小技を効かせたポンタのドラミングに、高中色全開の明るいギター・ソロが乗る。そうかと思えば、<恋は汽車のよう>なんて、めちゃグルーヴィーなロッキン・ファンクで、コールド・ブラッドとかタワー・オブ・パワーみたい。深町純がアレンジに関わる曲もあるし、最近 唯一作がCD化されたブルー・ベリー・ジャムがコーラスを務めた楽曲も2曲。そして何より、ブレッカー兄弟がホーン・セクションに。まぁ、よ〜く考えれば、全部キティの人脈なんだけれど(ブレッカーは深町ファミリー的に)。

更に<ちょっと背のびを>は、ゆったりブラジリアンなスキャット・ナンバー。他にもブルース寄りもあれば、ラグタムやスウィングも、と、如何にも当時のジャズ・シンガー風情。だけど、ありきたりなスタンダードへ行ってないのが好感で。シティポップというよりは、ポップ要素の強いクロスオーヴァー・ヴォーカル作品。もし比較するなら、笠井紀美子『TOKYO SPECIAL』あたりだろうな。

タワーレコード 原久美子