blueberry jam

前日ポストの原久美子1st『NO SMOKING』(78年)にゲスト参加し、2曲コーラスを取っていたブルーベリー・ジャム、79年のワン&オンリー・アルバムが8月末にこそっと初CD化されていた。ただしコチラは廉価シリーズ【CITY POP Selections by UNIVERSAL MUSIC】ではなく、フル・プライスの単発リイシュー。以前から再発企画を持ち込んでいた方がいらして、当時のメンバーも絡んで、ってコトで、解説あり、最新リマスターあり、ボーナス・トラックあり、の充実プロダクト。何度も出し直しているアイテムなら廉価のグロス売りもイイけれど、マニア向けのカタログ復刻は、まずはこのスタイルが基本であるべきだな、と。もちろんヴァリュー・プライスだからこそ手が伸ばせる、ってタマがあるのも確かですが…

このブルーベリー・ジャムは、隠れ名バンド:セイル・アウェイを経て、難波弘之率いるセンス・オブ・ワンダー、そして杉真理や松尾清憲らとBOXで活躍した小室和幸が、70年代後半に組んでいたグループ。コーラス・ワークを武器に、アンサンブルはビーチ・ボーイズとビートルズ、フォー・シーズンズ、ルベッツ、でもアイドルは10cc、 そんなバンドを目指していた。ただし一番近いと思わされるのは、実はチューリップ。実際、小室と当時の相方であるギターの大久保龍が、渋谷のジァンジァンで<心の旅>レコーディング直後のチューリップのライヴを観たことが、グループ結成の動機だったらしい。

とにかく、ビーチ・ボーイズ系のハーモニーへの憧れが強く、アルバム前のシングル4連発のB面は、ご本家<Don't Worry Baby>やママス&パパス<California Dreamin' (夢のカリフォルニア) >、カウシルズ<The Rain, The Park & Other Things(雨に消えた初恋)>などの洋楽カヴァーばかり。ビートルズや10ccからの引用も随所に撒き散らされていて、思わずニヤリとしてしまう。年代もあるんだろうけど、屈託のない愛情に満ち溢れたパクリで実に微笑ましい。プロデュースは、CBSソニーでセンチメンタル・シティ・ロマンスのデビューや四人囃子を手掛けていた磯田秀人。その流れか、茂木由多加(故人)がシンセ・アレンジで参加していたり、上田力や椎名和夫の名前もある。

片や前身アニマル・クラッカーの名義で、湘南学園同級生を中心に平塚フォーク牧場に関わっていたブルーベリー・ジャム。片や湘南ロックンロール・センターを根城にするクワタケ●スケ&サザンオールスターズ(イなし)。76年には両者が対バンを張ったこともあるそうで、加山雄三〜ブレッド&バター〜サザンオールスターズに連なる湘南の系譜でもある。

ところがアルバムを作って発売を待つ間に、リード・シンガーが交通事故に遭って長期休養。ベース&セカンド・ヴォーカルの小室が急遽リード・ヴォーカルに回り、ベースは後にC-C-Bを組む渡辺英樹が担当したが、長続きはしなかった。それでも中核3人が再び集まり、それがセイル・アウェイへと生まれ変わっていく。とりわけBOXでの小室を見ていれば、彼のミュージシャン・ルーツがこのブルーベリー・ジャムにあることは明白。シュガー・ベイブと同じで、彼らのガレージ・バンドならではのB級感が愛おしくなってくるのだ。