floyd_animals 2018 remix

ピンク・フロイドの77年作『ANIMALS』のニュー・リミックス盤をゲット。2022ではなく2018 Remix とあるのは、ずーっとフロイドのリマスターを手掛けていたジェイムス・ガスリーがこの年にリミックス作業を完了させたのに、デヴィッド・ギルモアとロジャー・ウォーターズの確執から4年間も発売延期になっていたためとか。あ〜、アホらし。それでもニュー・ヴァージョンを聴くと、グイグイと引き込まれてしまう自分がいる。

リリースは、CD, Vinyl, Blu-ray と、全部乗せのDeluxe Edition(CD+Vinyl+DVD+Blu-ray) 。少し遅れてSACDも出る。自分にとっての一番の楽しみは5.1chサラウンドなので、Blu-rayは必須だが、それがあればDVDは不要。グッズにも興味がないので、Deluxeは無用の長物になる。軽く聴きたきゃCDじゃなくサブスクを使えばイイし、じゃあ買い足すならヴァイナルか?と。でもヴァイナルを聴くなら、思い出したようにオリジナル盤を聴くのもイイな、と思い直し、進化したリミックス盤はサラウンドで聴くべしと、Blu-rayのみをチョイス。ま、自分の懐具合とリスニング状況を鑑みれば、遠回りせずとも当然の帰結ではある…

さて『ANIMALS』といえば、『DARK SIDE OF THE MOON(狂気)』や『WISH YOU WERE HERE(炎)』に比べ、あまり評価は高くない。ヒョッとすると世間的には、大作『THE WALL』よりも影が薄いのかな? でもフロイドで初めて接した新作が『炎』だった世代としては、『ANIMALS』にも相当に思い入れが深い。『狂気』で初フロイドを体験し、ニュー・アルバムとして聴いた『炎』にどハマリした自分だから、彼らの主要アルバムは『炎』と『ANIMALS』の間におおよそ聴いたはずで、ある意味フロイド熱が極めて高い時期だったかもしれない。「フロイドの傑作は?」と冷静に問われれば、そりゃー『狂気』と答えるけれど、個人的な思い入れは『炎』や『ANIMALS』の方が強いのだ。そのニュー・リミックスなので、自ずと聴き方に力が入ってしまう。

もっとも『ANIMALS』は、『狂気』のようにエフェクトやループを使って音をビュンビュン飛ばすような音創りをしておらず、<Dogs><Pigs><Sheep>という重厚な3曲を正攻法でズッシリ聴かせるアルバム。地味といえば地味だけれど、フロイドの叙情的指向性を愛するファンには堪らない一枚である。そして今回のリミックスも、まさにそうした直球勝負の手法で、奇をてらった点はほとんど感じられない。

ご存知のようにこのアルバムは、ロジャーのアコギの弾き語り<Pigs On The Wing>でスタートするが、その時点でもう『オッ!」となる。歌声がまったくのノン・リヴァーブで、生々しくなっているのだ。そして<Dogs>が始まり、イントロのギター・カッティングの鮮明さ、キーボードの深さに唸っていると、すぐに2度目の衝撃がやってくる。ニック・メイスンのドラムのフィル、その箱鳴りがスゴイ迫力なのだ。これはもしかしたら、サラウンドならではの効果かも。鍵盤系は主にリア・スピーカーから聴こえる。全般的には各楽器の分離が良くなってスッキリ聴きやすくなっている反面、音数が増えて密になってくるところでは、半ば意識的にダンゴ状態を作っているようで、ひと塊りになったサウンドを繰り出す。混沌とした世界観、社会の息苦しさを音で演出しているのだ。

でもサスガに自分のリーズナブルなサラウンド・システムでは、その音圧には追随できず、スーパーウーハーがブーミーになってしまった。ところが一瞬のブレイクで突如スペースを広げ、左右に振られたツイン・ギターやリアのキーボードがクリアに耳へ飛び込んでくる。その緩急の付け方がサウンドのドラマ性を高め、メッセージの押し出しを強めているようだ。

<Pigs>で驚いたのは、リズムのエッジの鋭さ。特にロジャーのベースがこんなにアグレッシヴに動いていたとは、これまでのミックスでは気づかなかった。中盤のキーボードが各chを回っていくのは、今回のリミックスでの数少ないイタズラかもしれない。

4月には、ウクライナ支援のために28年ぶりの新曲<Hey hey Rise Up>をデジタル・リリース(8月にCD/ Vinylを限定発売)し、11年発表の最新ベスト盤『A FOOT IN THE DOOR(百花繚乱)』もこのタイミングで再発と、今も話題に事欠かないピンク・フロイド。アナログ再発などアイテムが多いので、全然ついていけない、まぁ、いく気もないのだが、そこはよ〜く吟味しつつ、で。