j.geils band

前ポストのチープ・トリックからのライヴ盤繋がり。絶頂期にあったJ・ガイルズ・バンド、突然にして最後の打ち上げ花火となった3枚目のライヴ・アルバム『SHOWTIME!』 (82年)が、初の紙ジャケ化+高音質盤仕様でリイシューされた。EMI期のスタジオ3作『SANCTUARY』『LOVE STINKS』『FREEZE - FRAME』は再発を繰り返し、08年には揃って紙ジャケ化されたが、これは対象外。なので今回は4作同時リイシューのうち、この初モノだけゲット。一応、リーダー;J.ガイルズ没後5年、なんて建前が付いているけど、ハッキリ言ってそんなの誰も気にしてないだろう。裏事情なんて分からないけど、最近の某社紙ジャケ再発は、担当者の趣味性が強すぎる感じがして、もっと他にやれること、やるべきコトがあるんじゃないの?、とツッコミたくなる。

さて、70年にデビューしたJ・ガイルズ・バンドにとって、これが通算13作目(ベスト盤除く)。内3枚がライヴ盤だから、如何にライヴに自信があるバンドなのかが窺い知れるというモノだ。『LOVE STINKS』発表後の、唯一の日本公演を観に行ったが、ピーター・ウルフのマイク・アクションがべらぼうにカッコ良くて、こりゃあヨーロッパでフロントアクトを務めたストーンズより上を行ってるかも、なんて思ったものである。それから間もなく、<Centerfold(堕ちた天使)>が全米No.1に。その後のツアーをライヴ収録したのが、この『SHOWTIME!』になる。

ところがアルバム・リリースに前後して、看板シンガーのピーターが脱退表明。EMI移籍後のヒット路線を敷いたのはKydのセス・ジャストマンで、ピーターはそれに反発していたらしい。もっとも人気DJでもあって、ピンでもやっていけそうだった彼のこと。バンドが大ヒットを放ったことで、自らを“お役御免”にして、ソロに転じた面もあっただろう。でもそれでバンドが急失速。この後はアルバムを1枚出しただけで解散した。確か作品としては悪くなかった記憶があるけれど、フロントを失くして華がなくなり、サウンドそのままの実直さで小さくまとまってしまった感があった。

チープ・トリックもそうだけど、やっぱりケミストリーが起こり得るラインナップってあるもの。ついでに言っちゃうと、ホントはギミック・カヴァーもあるアトランティック時代のアルバムを、シッカリした日本製の紙ジャケにして出して欲しいのだが、状況を見ると、もうおそらく無理なんだろうなぁ…