dr.feelgood_stupidity

不屈のギタリスト:ウィルコ・ジョンソンが、21日(月)の夜、自宅で死去。彼は2012年に末期の膵臓ガンと診断されたが、化学療法を拒否。親日家のため来日ツアーとフジロック出演を実現させた後、手術で腫瘍を摘出し、2014年にガン克服を発表していた。享年75歳。

ウィルコが名を挙げたのは、75年にデビューした 英国パブ・ロック・バンド:ドクター・フィールグッドのギタリストとして。彼とシンガー兼ハープのリー・ブリローが激しく渡り合うステージ・パフォーマンスが注目され、74年にシングル・デビュー。翌年モノラル録音の1stアルバム『DOWN BY THE JETTY』を発表し、人気を拡大した。上掲は75 年のツアーを収録したライヴ・アルバムで、通算3作目。全米No.1に輝いたロックン・ロールの傑作である。原題は『STUPIDITY』はマヌケや役立たずを意味するが、邦題は大きく『殺人病棟』。ドクターと名乗る故の洒落っ気だ。

ただ、日本の一般的ロック・ファンには、パブ・ロックとパンク・ロックの違いをシッカリ把握している方があまり多くない気がする。元々パブ・ロックは音楽スタイルを縛るモノではなく、酒を飲みながら楽しく演ろうゼ!的なスタンス。ファンキーな連中もいれば、シンプルなロックン・ロールを身上とするバンドもある。ドクター・フィールグッドはその後者の代表格で、パンクとの架け橋的存在だった。パンクみたいに反体制的アティチュードを持つワケではなく、エネルギッシュに疾走しても無秩序ではない。近しいのはブリンズリー・シュウォーツやイアン・デュリー、グレアム・パーカーあたり。そう、ちょっと尖っていても、ピュアーに音楽しているバンドなのだ。だからパンクには深入りできなかった自分でも、何処かでシンパシーを感じていた。

が、ウィルコは4作目『SNEAKIN' SUSPICION』のリリースを待たずに、半ばバンドと喧嘩別れ。イアン・デュリー&ブロックヘッズを経て、81年からソロ活動を開始する。鮎川誠(シーナ&ザ・ロケッツ)や ミッシェル・ガン・エレファントなど、日本のロック・ミュージシャンとの交流も深い。近年では、ロジャー・ダルトリーとの共演作『GOING BACK HOME』(14年)が印象的だった。こういう頑固一徹のオヤジ、キライじゃないです。

Rest in Peace...