
五輪真弓のデビュー50周年記念で、70年代のアルバム群が3ヶ月連続でリリース。その第1弾として、2〜4枚目のオリジナル・スタジオ・アルバム、73年作『風のない世界』、74年作『時を見つめて』、75年作『MAYUMITY(マユミティ)』の3枚が出たので、速攻でゲットした。実際のリリースは、各アルバムの前後に『冬ざされた街』『本当のことを言えば』『THE SHOW - best concert album ’75』という3枚のライヴ盤があるが、そちらは3ヶ月連続の最後にライヴ盤だけをまとめて出すことになっている。そもそも彼女が70年代に発表した10枚のアルバムのうち、3枚がライヴ盤というのがビックリ。それだけライヴに魅力があるワケだが、ついでに言うと、スタジオ録音作7枚中4枚半が海外録音というのも相当に異色である。それだけスケールの大きいシンガー・ソングライター、と言ってイイだろう。
デビュー盤『少女』と同様、五輪の憧れだったキャロル・キングやその夫(当時)チャールズ・ラーキーが参加した『風のない世界』、ザ・セクション+ラリー・カールトンの布陣を敷いた『時をみつめて』に続く『MAYUMITY』は、通算6枚目のアルバムにして、初めて日本国内で制作したスタジオ録音作。しかも都心から離れた八王子に購入した一軒家で録音した、ホーム・レコーディング・アルバムだ。そう、細野晴臣『HOSONO HOUSE』や南正人『南正人ファースト』の流れである。
レコーディングに参加したのも、細野晴臣、鈴木茂、林立夫のティン・パン・アレー勢のほか、村上“ポンタ”秀一/田中清司(ds)、高水健司/岡沢章(b)、深町純/山田秀俊(kyd)、杉本喜代志/安川ひろし/永井充男(g)、村岡健(sax)に、同じ事務所の先輩:吉川忠英(ac-g)。ティン・パン勢がいたなら、彼らのヘッド・アレンジでドップリ落ち着いたセッションができた気もするが、ジャズ寄りのミュージシャンを加えたことで、彼女のヴォーカルの深さを多角的に表現しようとしたのかもしれない。
事実、ウエストコースト・ロック系の内省的シンガー・ソングライター表現を続けてきた彼女にとって、このアルバムの明るさ、力強さは別格だ。今回復刻された3枚を発売順に聴いていくと、本作スターター<なんて素敵な日>を聴いただけで、その世界観がガラリと変化したことに気づく。コード進行も楽器のチョイスも洗練されたし、リズムも軽快。もちろん彼女のヴォーカルも、ナチュラルかつ伸びやかになった。分かりやすく言ってしまえば、弾き語り系フォーキー・スタイルからシティポップへと垢抜けた。頭角を現してきたユーミン(当時は荒井由実)への意識があったかどうかが定かじゃないが、一連の海外録音/海外ミュージシャンとの交流を通じて、ひと皮剝けたのは確かだろう。そしてこのアルバムを聴いたフランスCBSのスタッフから現地レコーディングとアルバム・リリースを打診され、彼女の運命が動いていく。
でも、五輪真弓を代表するシティ・ポップ・アルバムと言えば、この『MAYUMITY』と、来月リイシューされる『蒼空』。この2枚で間違いない。
レコーディングに参加したのも、細野晴臣、鈴木茂、林立夫のティン・パン・アレー勢のほか、村上“ポンタ”秀一/田中清司(ds)、高水健司/岡沢章(b)、深町純/山田秀俊(kyd)、杉本喜代志/安川ひろし/永井充男(g)、村岡健(sax)に、同じ事務所の先輩:吉川忠英(ac-g)。ティン・パン勢がいたなら、彼らのヘッド・アレンジでドップリ落ち着いたセッションができた気もするが、ジャズ寄りのミュージシャンを加えたことで、彼女のヴォーカルの深さを多角的に表現しようとしたのかもしれない。
事実、ウエストコースト・ロック系の内省的シンガー・ソングライター表現を続けてきた彼女にとって、このアルバムの明るさ、力強さは別格だ。今回復刻された3枚を発売順に聴いていくと、本作スターター<なんて素敵な日>を聴いただけで、その世界観がガラリと変化したことに気づく。コード進行も楽器のチョイスも洗練されたし、リズムも軽快。もちろん彼女のヴォーカルも、ナチュラルかつ伸びやかになった。分かりやすく言ってしまえば、弾き語り系フォーキー・スタイルからシティポップへと垢抜けた。頭角を現してきたユーミン(当時は荒井由実)への意識があったかどうかが定かじゃないが、一連の海外録音/海外ミュージシャンとの交流を通じて、ひと皮剝けたのは確かだろう。そしてこのアルバムを聴いたフランスCBSのスタッフから現地レコーディングとアルバム・リリースを打診され、彼女の運命が動いていく。
でも、五輪真弓を代表するシティ・ポップ・アルバムと言えば、この『MAYUMITY』と、来月リイシューされる『蒼空』。この2枚で間違いない。