takanaka_brasilian skies

5月に始まる山下達郎 RCA / AIR Years のアナログ再発が大きな話題になっている昨今、実は今、高中正義にもスポットが当たってきているのをご存知だろうか? 昨年はL.A.録音した3rdアルバム『AN INSENTIABLE HIGH』(77年)と2枚組ベスト『ALL OF ME』(79年)がアナログ盤で復刻。年が変わって1月に4th『BRASILIAN SKIES』(78年)が出て、3月にはソロ・デビュー盤『SEYCHELLS』(76年)が復刻される。ただし人気なのは、『ALL OF ME』の収録対象であるキティ前期、70年代のアルバムあたりなのだ。

しかも、サブスクで再生回数がスゴイのは、<OH! TENGO SUERTE>や<トーキョー・レギー>、< Brasilian Skies> <BELEZA PULA> <Sexy Dance> <E.S.P.>などの楽曲。自分が超名作と信じて疑わない『TAKANAKA II』では、かろうじて<Sweet Agness>。つまり、従来の高中代表曲である<Ready To Fly>や<Blue Lagoon>、<渚モデラート>あたりは、全然月並みの人気しかない。つまり、新しいファン層に拠る履歴の書き換えが行われているのだ。

これは海外からのシティポップ潮流と同じ。要するにギター・ファンでもフュージョン好きでもなく、レア・グルーヴ〜ダンス・チューンとして再評価されている、というコトだ。…と同時に、適度に隙間のある、ライトに踊れるクロスオーヴァー・サウンドであることが重要なのだと思う。若い世代にはその音がノスタルジーではなく、今まで触れたことのないようなフレッシュ&ナチュラルで心地良く響く。『虹伝説』みたいな、カッチリとアレンジされたギター・フュージョンでは息苦しいのだな。

まぁ、かくいう自分もキティ前期の高中がサイコ〜と思っているクチなので、納得できる部分は多い。イベントでも<Sweet Agness>とか<Sexy Dance>使うし。 でも、全リード・パートを空で歌えるほどの<Ready To Fly>を軽〜く扱われてしまうと、それはやっぱり違うんじゃないの?と。シティポップ名盤と言われて菊池桃子を差し出されても、いやいやオレはやっぱりユーミンを聴くよ、と言うのと同じだ。否定はしないけど、主流と傍流の区別はしとけ、というコトなんだな。

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