bruce hibbard 022

CCM名盤『NEVER TURNIN' BACK』でお馴染みのブルース・ヒバードが、久しぶりのニュー・アルバム『CLOUD STREET』をリリースした。2013年作『FORTY YEARS』から、およそ10年ぶり。ソロ・アルバムとしては通算6作目に当たる。ただしこのアルバム、ヴォーカルは一切ナシのフル・インストゥルメンタル作品。なので特に期待感もなく、とりあえず買っておこう…、ってな体(テイ)で。

レコーディングが行われたのは、ユタ州レイトンにあるスタジオ。州都ソルトレイク・シティと北部オグデンの間にある街だ。このあたりが現在のブルースの住まいである。セッションに参加したのは、スティーリー・ダンのサポートで名を上げたジョン・ヘリントン(g)、CCM界隈でギタリスト/プロデューサーとして活躍し、最近はダグ・ブロンズを手掛けているトム・ヘンビー、サックスのマーク・ドゥシットなど、知っている名もチラホラ。その中でブルースは作編曲とプログラム、ベースとキーボードを一手に引き受けている。

正直、あのチョッピリ スモーキーな歌声がないことは、かなりのマイナス。その上ミックスが少し荒っぽい感じで、今ひとつ耳馴染みが悪い。もっとも自主制作盤というコトを考えたら、トータルでそれなりのクオリティと言えるか。スムーズ・ジャズではなく、70年代のクロスオーヴァー/フュージョン的空気感が心地良く、ちょっぴりクルセイダーズあたりに通じるフレイヴァーがある。オクラホマのブルースに、テキサスのクルセイダーズ、同じエリアの出身だけに音楽的ルーツが近いのだろう。

ブルースはクインシー・ジョーンズに見出されて、スタッフ・ライターを務めた時期もある人。だから歌モノでなくても、楽曲的に安定・充実している。そこが本作一番の魅力だ。とはいえ次は、やはり歌ってほしいもの。もっとも寡作なヒトなので、それがいつかになるかは分からないが…。