swing out sisiter_blue mood

昨年9月末に出ていたスウィング・アウト・シスターの、英Cherry Pop編集によるCD8枚組ボックス『BLUE MOOD:BREAKOUT & BEYOND』。年末近くに遅れて入手し、1枚ずつ思い出したように聴き進めている。同じアー写をあしらった結成30周年ベスト盤があるが、それがもう9年前。対してこのボックスは、彼らのキャリア初期にして最高に注目されていた85〜92年までの4枚のアルバム、『IT'S BETTER TO TRAVEL』(87年)、『KALEIDOSCOPE WORLD』(89年)、『GET IN TOUCH WITH YOURSELF』(92年)、『LIVE AT THE JAZZ CAFE』(93年)を全収録し、更に3枚のリミックス集、シングルB面+エディット集を大量追加したものだ。

このスウィング・アウト・シスターやシャーデー、マット・ビアンコといった、当時 “おしゃれサウンド” などと形容されたあたりは、いわゆるAORには当たらない。しかしスパンダー・バレーやシンプリー・レッド、スクリッティ・ポリッティあたりと同様、地続きではあって。AORの急降下と入れ替わりで台頭してきたから、ブラック・コンテンポラリーとは別の英欧からの新潮流として、飢餓感を抱いていたAORファンの耳を満たしてくれたものだ。

特に<Breakout> <Twilight World><Surrender>の12インチ3連発のインパクトは凄まじくて。当時の日本のアレンジャーたちが、こぞってこの辺りをパクっていた。放送をスタートした頃のJ-WAVEのオンエア・リスト、J-POPシーンの形成にも、少なからず影響を与えていたと思うな。だから2作目『KALEIDOSCOPE WORLD』のアレンジにジミー・ウェッブが絡んだ時、「…だよねェ」と、メチャクチャ嬉しかったのを思い出す。

結成当時は3人組だったスウィング・アウト・シスターは、現在もアンディ・コーネルとコリーンのデュオとして活動を続け、リリースしたオリジナル・アルバムは もう12〜3枚になるか。もしかして、このボックスの続編があるやもしれないけれど、やっぱりスウィング・アウト・シスターと言えばこの時代だろう。最新リマスターで音もまろやかだし、簡易紙ジャケ(アートワークは非オリジナル)をクラムシェル・ボックスに入れた最近の輸入盤に多い装丁で、8枚組にしてはコスパも良好。帯・解説付きの国内流仕様盤でも価格は4ケタに抑えられている。まずは、あるうちに買うときや、というコトで。