opus rakuyaopusyuming museum

午後、今月末で終わってしまうユーミン50周年を記念した展覧会『YUMING MUSEUM』@東京シティビューに足を運び、その足で若手シティポップ期待のニュー・カマー、OPUSのライヴ@中目黒 楽屋へ。ユーミンに関しては、個人的にあまり思い入れは深くないけれど、日本のポップ・シーンをリードしてきたのは紛れもない事実だし、あの大掛かりなステージには ただ平伏すのみ。でもあれはもう、ジックリ音楽をきく環境ではないな、と。もちろんユーミンもマンタさん(松任谷正隆)を、それを重々理解していて、ひとつのエンターテイメント・カルチャーとして、あの壮大なステージを組んでいる。それが自分の求める音楽観とはフィットしていないだけ。今になって思えば、自分が愛すべきユーミン像は、やっぱりシンガー・ソングライターとしての彼女だった。

…そんなコトをボンヤリ考えながら、中目黒 楽屋のOPUSライヴへ。彼らのことは、年末のレコ発ライヴのレポートとか、彼らのWebsiteをご覧いただきたいが、最近のシティポップ・ブームの中にあって奇をてらうコトなく、その王道を正攻法と確かな技術で好き進んでいる期待の新星だと捉えている。結成から3年半、コロナ禍もあって有観客ライヴはまだ数回だそうだが、暮れのブルース・アレイもフルハウスだったし、この楽屋も余裕でソールド・アウト。ブルース・アレイより若干オーディエンスの年齢は上がっていた気がするが、熱気はかなりのモノだった。

そもそも中目黒 楽屋は、狭いステージにグランド・ピアノがデ〜ンと鎮座している小屋で、ちょっとアコースティック編成向き。自分的には客でもスタッフとしても来ているけれど、そこでOPUSがライヴをやるというのに一層興味をソソられた。それこそブルース・アレイでは、ツイン・キーボードでシッカリとアンサンブルを構築していたのだから…。それをアコースティック・ピアノ中心(一部エレピ)でシンセなし、ギターのみサポート・メンバーを迎えて再構築するというのは、潔いというか、結構勇気が要ったんじゃないかと思う。そうしたら、いきなりオープニングが<中央フリーウェイ>で。あらァ、それってさっきユーミンの手書き歌詞ノートを観てきたトコロだよ

最近の若手バンドは、King Gnuを筆頭に、高学歴・音大卒など、音楽的IQの高いメンバーが多い。このOPUSもその類で、演奏スキルは高レヴェルで危なげナシ。アコースティック色が強くなっても、ごく自然にマイナス・アレンジをやってのける。セットリストには、1stアルバム『BEHIND THE TIME』からのレパートリーと、<中央フリーウェイ>以外にも、竹内まりや<Oh No Oh Yes>、ハイ・ファイ・セット<永遠のSunny Days>、吉田美奈子<頬に街の灯><ラムはお好き>、そしてアンコールで<Down Town>。もうこの選曲センスに仰け反ってしまうけれど、打ち込みで作られた<Oh No Oh Yes>や、重厚なストリングスが入っている<頬に街の灯>をごくシンプルに、でも豊潤に聴かせるアレンジの妙と言ったら… 可憐なようで凛とした表情を見せたり、甘酸っぱさも香らせるヴォーカルもイイし、何よりバンドとしてのコンビネーションの良さが手に取るように伝わってくる。聞けばシンガーのSAKIは、ソロのシンガー・ソングライターとしても活動しているそう(名義は“下町の夏”)で…。前回のライヴでは、もう少し声量が欲しいかな、と思ったけれど、それがチョッとした儚さの表現にも繋がっているようだ。

何れにせよ、実力も伸びシロも充分な新人バンド、OPUS。これからの動きに期待したい。

CDのお求めは以下から。
https://opuscitypop.thebase.in/items/69588866

OPUS youtube channel
https://www.youtube.com/@OPUSTube