horn house

うわぁ〜、コイツはカッコイイ。
思わずそんな感嘆符が口を衝いてしまった。
これは今に蘇ったアース・ウインド&ファイアー、
     あるいはシーウインドのホーン・セクションか!? 
その実体は、インコグニートやヤング・ガン・シルヴァー・フォックスで
しばしば共演を重ねてきた英国人管楽器プレイヤー、トム・ウォルシュ(トランペット)と
                ニコル・トムソン(トロンボーン)のユニット。
80’sスタイルの切れキレ英国ジャズ・ファンクに、
            迫力あるホーンがパワー全開で迫りくる。
拙監修【Light Mellow Searches】fro P-VINE、3月の新作は、ロンドンの売れっ子セッション・ミュージシャンであるトロンボーン奏者ニコル・トムソンと、トランペット担当のトム・ウォルシュ、2人が主導するスタジオ・ユニット、ホーン・ハウスのデビュー作、その名も『HUMAN SYNTHES』。コレ、何処ぞで音を聴いた名ドラマー:沼澤尚さんが、わざわざ「ホーン・ハウス、サイコーですネ」とメッセージをくれるほど、イキの良いアルバムなのだ。

ニコル・トムソンは、YGSFの頭脳ショーン・リーとザ・スーパーハイウェイ・バンドなる2メン・ユニットを組んで、昨年アルバム『STUDIO CITY』を日本リリースしたばかり。インコグニートやレヴェル42とも縁が深く、レヴェル42の昨年のジャパン・ツアーにも帯同していた。
「日本はもう42回目になるかな。東京周辺のことならロンドンより詳しいよ…笑」
元TALC、という事実が判明して、ビックリしたフリークも少なくないだろう。

そのザ・スーパーハイウェイ・バンドを裏メンバー的に強力サポートし、ショーン・リーに「まったくヤバいヤツ!」と言わしめたのがトム・ウォルシュ。セッション・シーンに飛び込んだのはニコルより遅かったが、アチコチで共演を重ねるうち、互いに共通するモノを発見した。
「ジェリー・ヘイ作品に対する共通の愛情、それがこのバンドの核になっているんだ」

最近のトムは、アレンジに専念するようになったジェリー・ヘイの代役として、ジェリー当人やシーウインドの盟友ラリー・ウィリアムスから直接指名を受けるようになっている。クリス・ウォーカー『WE'RE IN THIS LOVE TOGETHER - Celebrating Al Jarreau』(19年)やランディ・グッドラム『RED EYE』(20年)がその一例で、ダイアナ・ロス最新作『THANK YOU』(21年)やマイケル・ブーブレ『HIGHER』(22年)でも2人セットでコールを受けた。それだけ信用に足るホーン・セクションなのである。

マルチ・プレイが可能な2人をバックアップしているのは、インコグニートでブルーイの片腕を務めるマット・クーパー(kyd)、レヴェル42のネイザン・キング(vo,g / マーク・キングの弟)とピート・レイ・ビギン(ds)など。そしてロボットのラヴソングであるタイトル曲は、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスとのジョイントである。
「ショーンとはとても長い付き合いで、彼のプロジェクトにもたくさん参加してきた。でも彼がYGSFの2ndアルバムで初めて僕にホーンを頼んできた時、これはステキなマリアージュになると思った。アンディとはYGSFで2曲共作しているから、是非チェックしてしてほしいな!」(ニコル)

他にもトムの幼馴染みのエマ・スミス、ジャミロクワイやスティーヴ・ウィンウッドのツアーに参加しているネイト・ウィリアムスらがヴォーカルを担当。80'sのブリティッシュ・ジャズ・ファンクを今様にアップデイトした、切れッキレのアーベイン・ファンクを聴かせてくれる。プロジェクト・デビューにして、今が旬。国内盤にはボーナス・トラック2曲追加アリ。