
4日連続で訃報があって、紹介するのがスッカリ遅れてしまったエルヴィス・コステロ&バート・バカラック『THE SONGS OF BACHARACH & COSTELLO』。コレもまた、世界同時リリースの約1ヵ月前に当たる2月8日にバカラックが急逝してしまったので、結果的に追悼リリースみたいなモノ。自分が愛聴したり影響を受けたりしてきたアーティスト/ミュージシャンたちが、みな相応の年齢に到達しているのだから、世の習いとして仕方のないコトとはいえ、やはりやるせない気持ちは募る。ウ〜ム…。
さて、このアルバムは、98年に発表されたご両人のコラボ・アルバム『PAINTED FROM MEMORY』のリマスター&拡大盤。フォーマットとしては通常盤がCD2枚組とLP2枚組、それに2LP+4CDのSuper Deluxe Editionがあって、どれをオーダーするかチョイと悩んだけれど、Super Deluxeなんてロクに聴かないのは分かっているので、サブスクでチェックすることに。LPは収録曲が少ないので、結局CD2枚組をポチるという現実的選択に落ち着いた。
そもそも『PAINTED FROM MEMORY』は、96年の映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のために共作した<God Give Me Strength>が先にあって。しかしそれでは飽き足らなかったコステロが、「もっと一緒に曲を作りましょう」と提案して実現したという。結果、<I Still Have That Other Girl>がグラミー賞最優秀ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル受賞。
更にコステロから収録曲のデモ音源を受け取っていたビル・フリーゼルが、それをジャズ・アレンジで再構築した『THE SWEETEST PUNCH』を発表。発売こそ99年だったが、実はレコーディングは本編とほぼ同時だったそうだ。そしてもうひとつ、『PAINTED FROM MEMORY』楽曲を元にブロードウェイ・ミュージカルを作るプラン『TAKEN FROM LIFE』が立ち上がって。ところがレコーディングはされたものの、舞台化には未だ至らず、音源は未発表になっていた。
今回の『PAINTED FROM MEMORY』25周年に当たっては、まずはdisc 1に、その2023年リマスターを収録。そしてdisc 2に舞台化を想定して録られていた『TAKEN FROM LIFE』の未発表曲、切り売りされた既発表曲をまとめ、それに21〜22年の新録曲3曲、ビル・フリーゼル『THE SWEETEST PUNCH』からの2曲を追加した全16曲を収めている。特に<You Can Have Her><Taken From Life><Look Up Again>の新録が素晴らしいのと、カサンドラ・ウィルソンやジェニー・マルダー(マリア・マルダーの娘)といった女性ヴォーカル曲が耳に残る中、オードラ・メイが歌う<I Looked Away><In The Darkest Place><What's Her Name Today?>が飛び切りの歌唱で胸に迫る。聞けばジュディ・ガーランドの親戚筋にあたる若手らしいが、この切迫感はコステロに肉薄してるな。
そもそも『PAINTED FROM MEMORY』というアルバムは、ドリーミーでソフトな印象のバカラック・ソングの数々に比べるとちょっと異色。往年のバカラック・ファンからは、コステロの粗くザラついた生々しい歌声がフィットしない、という声も少なからず出ていた。自分なんかは、だからこそ熱さやひたむきさが伝わって良い、と思っているが、甘味料に鳴らされた耳には どうも痛々しく聴こえるようで。
でもその傾向は、未完成だった『TAKEN FROM LIFE』の楽曲の方が強くて。ストリングスが付いている曲が少なく、ピアノかギター1本だけとか、ごくシンプルなリズムが付いただけとか、ネイキッド度がより高い。そしてラストは、映画『オースティン・パワーズ』用に作曲された<Lie Back & Think Of England>を、バカラックがカスレた声を振り絞るように歌う。お星さまになったから言うワケじゃないけど、コステロより、コレが一番痛々しいよ。
改めて安らかに。
そもそも『PAINTED FROM MEMORY』は、96年の映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のために共作した<God Give Me Strength>が先にあって。しかしそれでは飽き足らなかったコステロが、「もっと一緒に曲を作りましょう」と提案して実現したという。結果、<I Still Have That Other Girl>がグラミー賞最優秀ポップ・コラボレーション・ウィズ・ヴォーカル受賞。
更にコステロから収録曲のデモ音源を受け取っていたビル・フリーゼルが、それをジャズ・アレンジで再構築した『THE SWEETEST PUNCH』を発表。発売こそ99年だったが、実はレコーディングは本編とほぼ同時だったそうだ。そしてもうひとつ、『PAINTED FROM MEMORY』楽曲を元にブロードウェイ・ミュージカルを作るプラン『TAKEN FROM LIFE』が立ち上がって。ところがレコーディングはされたものの、舞台化には未だ至らず、音源は未発表になっていた。
今回の『PAINTED FROM MEMORY』25周年に当たっては、まずはdisc 1に、その2023年リマスターを収録。そしてdisc 2に舞台化を想定して録られていた『TAKEN FROM LIFE』の未発表曲、切り売りされた既発表曲をまとめ、それに21〜22年の新録曲3曲、ビル・フリーゼル『THE SWEETEST PUNCH』からの2曲を追加した全16曲を収めている。特に<You Can Have Her><Taken From Life><Look Up Again>の新録が素晴らしいのと、カサンドラ・ウィルソンやジェニー・マルダー(マリア・マルダーの娘)といった女性ヴォーカル曲が耳に残る中、オードラ・メイが歌う<I Looked Away><In The Darkest Place><What's Her Name Today?>が飛び切りの歌唱で胸に迫る。聞けばジュディ・ガーランドの親戚筋にあたる若手らしいが、この切迫感はコステロに肉薄してるな。
そもそも『PAINTED FROM MEMORY』というアルバムは、ドリーミーでソフトな印象のバカラック・ソングの数々に比べるとちょっと異色。往年のバカラック・ファンからは、コステロの粗くザラついた生々しい歌声がフィットしない、という声も少なからず出ていた。自分なんかは、だからこそ熱さやひたむきさが伝わって良い、と思っているが、甘味料に鳴らされた耳には どうも痛々しく聴こえるようで。
でもその傾向は、未完成だった『TAKEN FROM LIFE』の楽曲の方が強くて。ストリングスが付いている曲が少なく、ピアノかギター1本だけとか、ごくシンプルなリズムが付いただけとか、ネイキッド度がより高い。そしてラストは、映画『オースティン・パワーズ』用に作曲された<Lie Back & Think Of England>を、バカラックがカスレた声を振り絞るように歌う。お星さまになったから言うワケじゃないけど、コステロより、コレが一番痛々しいよ。
改めて安らかに。