ジャクソン

ジャクソン・ブラウンの2023年ジャパン・ツアー、東京3デイズの初日@Bunkamura オーチャード・ホール。ジャクソンの来日は2017年以来6年ぶり。個人的には前回ツアーは観ていないので、その前の15年以来ちょうど8年ぶりの参加となった。ジャクソンは既に大阪〜広島〜名古屋を回ってきて、かなり調子も良さそう。それ以上にファンの静かな熱気がビンビンで、イイ歳こいて追っかけ状態のオジサマたちが多数。こういうのって単なるアーティストとファンの関係を超越していて、時代性とマインドを同時に共有してきたからこそだと思う。

ライヴ・レポートは先輩ライターさんによる詳細なモノが早々にこちらへアップされているので、それをご覧いただくとして。同じブログ内で、今ツアーの大阪・広島・名古屋でのパフォーマンスの模様、セットリストもすべて公開されているので、各公演の違いなどを知りたい方はご参考に。

ジャクソンのライヴでは、ツアーごとに決められたセットリストをベースにしつつ、その場でファンから寄せられたリクエストに応じるのがデフォルトである。でもこの日は、オープニング<Before the Deluge>を演ったあとのMCから、早速、同じ『LATE FOR THE SKY』に入っていた<Farther On>の声が掛かった。瞬時に「まだリクエストに応じるには早いだろう」と思ったが、何と一旦抱えたギターを持ち替え(彼は曲ごとに楽器を変え、ピアノに移る時も)、早速それを披露したからビックリ。でもその後はジャパン・ツアーに組まれたオーダーに復帰。1stセット終盤の<Downhill From Everywhere>や<Call It A Loan>は、少し前までバンド・メンバーだったジェフ・ヤング、そして盟友デヴィッド・リンドレーと、今年になって立て続けに鬼籍に入ってしまった盟友たちに捧げたレパートリー。

ブレイク後、『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』『STANDING IN THE BREACH』といった近年作からのピックアップで始まった2ndセットは、まさにファン待望の楽曲オンパレード。最新アルバムを立ててのツアーでは もっと新曲が多くなるはずだが、コロナ禍があって、最新作『DOWNHILL FROM EVERYWHERE』からでももう2年近く。故に新しい曲を少なくし、『LATE FOR THE SKY』や『THE PRETENDER』から多く歌うというセットは、ファンには理想的な展開だった。特に自分のように、アルバムはひと通り持っているけど、ある時期以降はあまり聴き込めてない、という薄クチ・ファンにはありがたいセットだ。

また<Your Bright Baby Blues>の前には、ジャクソンに「スライド弾いて〜」という声が掛かり、「これは超レアだよ」なんて言いながら、ギター・テックにスライド・バーを持って来させて、ひとしきりギュィ〜ンと。そこにグレッグ・リースのペダル・スティールが絡んできて、通常イントロに繋いでいく。バックにはL.A.セッション・シーンで引く手数多のボブ・グラウブ(b)もいたが、かなり抑えたブレイであまり目立たず。その代わり、やはりグレッグのプレイが強力で、どうしてもリンドレーの姿がダブってくる。もう一人の若手ギタリスト:メイソン・ストゥープスは、昨年からツアーに顔を出していたらしいが、グレッグからソロを引き継いでも聴き劣りはなく、シッカリとバンドに馴染んでいた。ジャクソンも前に観た時より声が出ていて、これもビックリ。

デビュー作からの<Doctor My Eyes>以降は、<Late For The Sky><The Pretender><Running On Empty>を立て続けに繰り出し、オーディエンス総立ちで大盛り上がり。アンコールは<The Load Out / Stay>でオーディエンスも一緒に歌い、コロナ明けを実感する。そして「グレン・フライと書いた曲だ」と告げて、<Take It Easy / Our Lady Of The Well>。約20分のブレイクを挟んだものの、ジジイたちが心を躍らせた3時間のステージだった。