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トム・リードンが3月22日に亡くなった。リードンは、イーグルスの創設メンバーであるバーニー・リードンの弟で、トム・ペティがハートブレイカーズ以前に組んでいたグループ、マッチクラッチのオリジナル・メンバー。当ブログ的には、<恋のバンシャガラン(Wham Bam)>のヒットで知られるシルヴァーのベース奏者、と言うのがお馴染みかも。

トム・リードンは、フロリダ州ゲインヴィルのハイスクールに通っている頃にトム・ペティと知り合い、リードンがギター、ペティがベースでバンド結成。これがマッドクラッチで、その後2人目のギタリストとしてマイク・キャンベルが参加し、71年に<Up In Mississippi>をレコーディングした。しかしリードンは翌年脱退。グループはシェルター・レーベルからもう1枚シングルを出し、ほどなくして解散。その後ハートブレイカーズが誕生する。

マッドクラッチを抜けたトム・リードンは、イーグルスを結成した兄バーニーを追うようにL.A.に出て、リンダ・ロンシュタットのバンドに参加したり、後にスニーカーのメンバーになるマイケル・コテージらと"LIVE"というバンドで活動。イーグルスの75年作『呪われた夜(ONE OF THESE NIGHTS)』に収録されている<Hollywood Waltz>は、リードン兄弟とドン・ヘンリー、グレン・フライの共作になる。

更にトムは76年のシルヴァー結成に加わり、ウエストコースト名盤『SILVER』をリリース。グループはアルバム1枚で瓦解するが、トム以外にも元バドロフ&ロドニーのジョン・バドロフ、グレイトフル・デッドに参加するブレット・ミッドランド、ナッシュヴィルでスタジオ・ワークに就いて、やがてラリー・リーやジム・フォトグロとビートルズのトリビュート・バンド:ヴィニール・キングスを始めるハリー・スティンソンなどを擁した。ヒットした<Wham Bam>はただのポップ・ソングだったけど、ミュージシャン稼業の悲哀を歌った<Musician(It's Not An Easy Life)>を筆頭に、<Memory><No Wonder><It's Gonna Be Alright><Climbing>、そしてイーグルス風の<Goodbye, So Long>など、バラードに好曲が多くて忘れがたい連中だった。

その後トムは前線を退き、ナッシュヴィルでギター講師をしていたらしい。が、トム・ペティが07年にサイドワーク的にマッチクラッチを再結成すると、これに参加。2枚のスタジオ・アルバムとライヴ盤に名を連ねている。

ハートブレイカーズとマッドクラッチのギタリストだった盟友マイク・キャンベルは、「トム・リードンは私の最も深いギター・ソウル・ブラザーだった」とインスタグラムに書き込み、彼を追悼。享年70歳。自然死だったという。昨日はジャクソン・ブラウンのライヴでグレン・フライを偲び、デヴィッド・クロスビーやデヴィッド・リンドレーに思いを馳せ、今日はまたトム・リードン。こうして時は流れていく。

Rest in Peace...