benny sings_young hearts

いつの間にかコソッと出ていたベニー・シングス最新作。amazonでは発売から2週間たった現在でも、ジャケットがアップされていなくて、メーカーのやる気の無さが見えてしまう体たらく。だけれど内容はなかなかで、ややマンネリが窺えた近作の中では、お気に入りになりそうだ。

振り返ってみれば、04年に輸入盤で知った2作目『I LOVE YOU』にショックを受けたのがベニーとの出会いだったから、かれこれ20年近く。宅録のポップ・マエストロらしく、2度くらい観たライヴはちょっと残念だったけど、彼の音楽の箱庭的面白さは、やっぱりアルバムに限る。

Cornelius、cero、スキマスイッチ、安藤裕子、土岐麻子など、日本人アーティストとのコラボが多いのは、相乗効果を狙った日本サイドの仕掛けが多い様子。けれど、そういう外部からのアイディアがあると俄然才能を発揮するタイプなのは確かで、今作は人気ビート・メイカー/プロデューサー:ケニー・ビーツとの共同プロデュース。ベニーはひと足早くリリースされたケニーの初リーダー作『LOUIE』に、サンダーキャットやヴィンス・ステイプルズらと共に参加していた。

『I LOVE YOU』の頃とは違ってソウル・テイストは薄めなので、AORやヨット・ロックとはニュアンスが異なるが、ヤング・ガン・シルヴァー・フォックスあたりとは地続きの部分も。それより自分はブリット・ポップとの共通項を感じてしまうけど。敢えて言うなら、デジタル感覚の現代版ソフト・ロック? <Pyjamas>には、カルフォルニアの新世代ファンキー・ソウル・ポップ・シンガー、レミ・ウルフをフィーチャー。ベニーが創るエレクトリック・ボッサなトラックと、彼女のベッドルーム・ポップらしい歌声のミックスが、メチャメチャにフィットしている。ポップスには、こういうウキウキ気分が必要なのよ。