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ザ・レディングス、ちょっと地味な存在だったけど、結構好きだったな。初めて聴いたのは、82年の3枚目『STEAMIN' HOT』。邦題『ドッグ・オブ・ザ・ベイ』で、これが日本盤デビューだった。タイトルは当然、67年に飛行機事故で死んだオヤジ、オーティス・レディング・ジュニアの代表曲。それをカヴァーしたのが話題になっての日本デビューだった。

でもそれがどうも今イチ物足らず。80年にデビューしてアルバム2枚を出したものの、期待したほどのヒットに至らず、天下の宝塔<(Sittin' On) The Dock Of The Bay>をカヴァーしてみたが、これも全米55位/R&Bチャートでも21位止まりで。その後発刊された田中康夫著『たまらなく、アーベイン』(ディスクガイドとしても有効なエッセイ集/後の『僕の東京ドライブ』)に、レディングスのデビュー作『THE AWAKENING』が大枠でリコメンドされていて、早速中古盤をゲット。何だ、コッチの方が全然イイじゃないの、と。

全体的には当時のハヤリだったブラック・コンテンポラリーそのもので、ダンサブルなモダン・ファンクが中心なんだけど、<Come In Out The Rain><Lady Be My Lovesong>の2曲がAORとしてもイケるメロウなスロウ・チューンで。アップもレイ・パーカーJr.の初期レイディオ風で、なかなかカッコ良かった。2010年代になって、オランダのVinyl Masterpieceが彼らの作品4枚をCD化したんだが、思わず飛びついてしまったよ。

ちなみにザ・レディングスは、オーティスの長男デクスター、次男オーティス3世、従兄弟のマーク・ロケットの3人組。とりわけデクスターのスラップ・ベースが強力で、それが彼らのウリだった。2パートから成るタイトル・トラック<The Awakening>も、ベース・ソロを聴かせるインスト・ナンバーで。親父に比べて歌は非力だったけど、デビュー曲<Remote Control>はR&Bチャート6位のヒットになった。最終的に88年のラスト・アルバム『THE REDDINGS』までに6枚の作品を発表。方向性を見失いかけた時期もあったが、キャメオやエムトゥーメイ勢と絡んだり、ジョージ・デューク一派のロバート・ブルッキンスとコラボったり、終盤は復活の兆しを見せていただけに、残念な活動停止だったのを思い出す。

そのオーティス・レディング3世が、4月18日、ジョージア州メイコンの医療センターで逝去。グループ解散後も地道に音楽活動を続けていたらしいが、最近はガンを患っていたそうだ。享年59歳。1967年に父が事故死した時、まだ3歳だった彼が、とうとう逝ってしまう時代になった。

Rest in Peace...