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ウルトラヴァイヴによる【T.K.レコード・スペシャルプライス・セール】が5月17日からスタート。マイアミ・ソウルの爆心地となったT.K.だから、自ずとソウル〜R&B系が中心になるが、そこは太陽が燦々と降り注ぎ、カリブの風がそよぐ北米きってのリゾート地。そこでハヤる音楽も、自ずと人種やジャンルがクロスオーヴァーしたトロピカル・グルーヴ満載になる。K.C.&ザ・サンシャイン・バンドやフォクシーといったブルー・アイド・ソウル系グループが活躍し、ボビー・コールドウェルの本格デビューを進めたレーベルとしても有名だ。その廉価再発アイテムの中から、当ブログ的にオススメ・アイテムをまず2枚。

最初の1枚は78年にデビューしたスパッツ。フロリダ一帯のクラブ・スポットでブイブイ言わせていたライヴ・バンドらしいが、メンバーの中にはニルス・ロフグレンのバンドにいたり、後にポール・リヴィア&ザ・レイダーズに参加した者も。知名度は低くても、そこそこキャリアのある実力派が集まっていたようだ。スペシャル・サンクスにはシカゴのウォルター・パラザイダー、ダニー・セラフィン、ジェイムス・パンコウの名があるが、コレはシカゴの同年作『HOT STREETS』がクライテリア録音だったことと関係があるのかな? 

スターターのグルーヴィー・メロウ・ミディアム<Hot Summer Madness>、如何にもフロリダらしい涼風グルーヴをそよがせる<Soul Searchin Lady>、ヴォーカル・ハーモニーの効いたヤンギーやドライヴ・チューン<Yours Forever>から、シングル向きのポップ・チューンまで、ソフィスティケイトされたマイアミ・スタイルのブルー・アイド・ソウルが楽しめる。

もう1枚のチーズは、その前年にデビューした、これもワン・ショット・ワンダー(一枚屋)。スパッツより少しロック寄りのスタイルを持った白人5人組で、kyd奏者ロイド・ランデスマンはハード・ロック・グループでのデビュー経験を持ち、後にマイケル・ボルトンや故クラレンス・クレモンズなどに関わっていく。

ウエストコースト風の<So Long>、シンセのリフがキャッチーな<I Got Love>、その名もズバリの魅力が炸裂する<Sweet Harmony>、胸キュンのキュートなポップ・チューン<Lady Love>、甘酸っぱいミディアム・チューン<Time Is An Arrow>。バラエティに富んだ楽曲に洗練とイナタさを同居させつつ、そのギャップを変わり身の早さでサラリと乗り切ってしまうあたりが、チーズの真骨頂か。スパッツのメンバーや、同じT.K.の傍系レーベル:ボールドからデビューし、レア・グルーヴ界隈で注目された女性ヴォーカル・グループ:リード・インクのメンバーもサポート参加している。

ちなみにこの2組は、かの有名な現地クライテリア・スタジオがT.K.傘下に設立したレーベル、グッド・サウンズに所属した兄弟グループ。放蕩経営だったT.K.の煽りを喰らってしまってか、グッド・サウンズ自体が2年ほどの運営で終わっているので、契約アーティストも両手に余るほどしかいないが、この2組はホントに甲乙が付け難いな。

なおこの廉価セールは、7月31日までの期間限定。AORやブルー・アイド・ソウルに限らず、ジェームス・ブラウンやリオン・ウェア再発などもあるので、要チェックを。