paul young 023

ホール&オーツのカヴァー・ヒット<Every Time You Go Away>で有名な英国のブルー・アイド・ソウル・シンガー、ポール・ヤング。2016年に出した60〜70年代のソウル/R&Bカヴァー集『GOOD THING』以来、7年ぶりの新録アルバム。でも書き下ろしの新曲中心に構成したオリジナル・アルバムというと、06年作『ROCK SWINGS』を通り越して、その約10年前、97年に出した『PAUL YOUNG』にまで遡らなければならない。つまり、何とビックリ 四半世紀ぶりの純オリジナル・アルバムになる。でもコレが味わい深くて、なかなかイイのよ。

2012年にデヴィッド・フォスター&フレンズの一員として来日した時は、正直「この人、もう終わっちゃったなぁ〜」と思った。声がしゃがれちゃって、全然歌えていない。ドイツで出ていたらしい『ROCK SWINGS』を聴いていたら、多少は事情が掴めていたかもしれないけど、フォスターと来るのを知った時さえ、「へぇ、まだ歌ってたんだ…」と思ったくらい。日本には97年以降、ロクにニュースが入ってなかった気がする。

でもそのあとリリースされた『GOOD THING』は、ルー・ロウルズ、アル・グリーン、ステイプル・シンガーズ、エディ・フロイド、ジョニー・テイラーあたりのサザン・ソウル・カヴァーにビー・ジーズを混ぜ込んで、渋くジワジワ歌い込んだ好作で。何処かボズ・スキャッグスの近作を髣髴とさせたな。

今回の新作『BEHIND THE LENS』もその流れを受け継いでいて、カヴァーを自前のナンバーに置き換えた感じ。声なんか全然伸びなくて朴訥としているけど、その枯れたヴォーカルに年輪が宿る。速いテンポの曲なんてアリマセン。ヴィンテージ感漂うミディアム〜スロウばかりで、ひたすらジンワリ、コク深く聴かせるのだ。

プロデュースはもちろんポール自身。楽曲の多くは、長い付き合いとなるドリュー・バーフィールドとの共作である。ギターには職人ロビー・マッキントッシュも。そしてEPOや井出泰彰とも縁が深いダニー・ショッガーによる打ち込み曲<I Hadn't Finished Loving You>が、フィル・コリンズ<One More Night>みたいで異彩を放っている。

デビュー40周年に合わせてのニュー・アルバムらしいけど、無理に飾った感はなく、今のポールの姿を等身大でナチュラルに表現。エリック・クラプトンみたいな曲もあるけれど、やっぱり年齢や経験を重ねたからこそ表現できる音楽ってあるのだよ。