night shiftloise lake

フランスのアーバン・ポップ・クリエイター:ジェローム・ブーレが、6月15日頃までに亡くなっていたらしい。誰それ?、という方が多いだろうけど、欧州や北欧発信の新世代AORに詳しい方なら、記憶の片隅に残っているかも。彼は、ガイスターのガエル・ベンヤミンが組んだ別働ユニット:ナイト・シフトの相方。同時に、我が【Light Mellow Searches】から2016年にアルバムを紹介した、ルイス・レイクというユニットの首謀者でもあった。享年49歳。

ナイト・シフトは、フランスで既にガイスターとして注目され始めていたガエルが、04年のツアー中にジェロームと出会って意気投合。共通するルーツであるUSウエストコースト・サウンドを演ろうと結成したツー・メン・ユニットだ。07年に唯一作『FULL MOON』をリリースし、AORファンの間で脚光を浴びた。日本でも都内輸入CDショップでスマッシュ・ヒット。半ば新世代AORのクラシックのような存在になって、約15年後の2020年にアナログ化されている。ヨーロッパのAOR系ネット・ラジオなどではいち早く定番化していたようで、当然タイミングとしてはヤング・ガン・シルヴァー・フォックスより早かった。もしコンスタントに活動していたら、今のYGSFのポジションに彼らが立っていた可能性も。

ジェロームのギタリスト/シンガー/プロデューサーとしての活動歴は、ルイス・レイクを立ち上げた2010年時点で約20年あったとか。彼は様々なバンドでギタリスト/ソングライターとしてプレイしてきたが、なかなか納得するモノができず、ならば自分がやりたいことを自由に表現できるプロジェクトを持とうと考えた。それがルイス・レイク。この名前は、キング・クリムゾンやエマーソン・レイク&パーマーで活躍したグレッグ・レイクへのオマージュで、そこに彼が好きなファースト・ネーム、“ルイス”を合体させている。ガエルがモダン・ポップな指向性を持った天才だとすると、ジェロームはピンク・フロイドやイエス、アラン・パーソンズ・プロジェクトあたりを愛するプログレ好きで、叙情的ポップ・メロディを創りたい秀才肌。「ルイス・レイクのサウンドは、僕の音楽の2大影響源であるウエストコースト音楽とプログレの間を行き来する旅みたいなものなんだ」と語っていた。

結局ナイト・シフトもルイス・レイクもアルバム単発。多作家のガエルとは、ココでも対照的だった。でもまさか、こんなに早く逝ってしまうとは…

Rest in Peace...

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