

エリック・クラプトンが91年にリリースしたロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール公演のライヴ・アルバム『24 NIGHTS』。その拡大版『THE DEFINITIVE 24 NIGHTS』の映像を、発売から2ヶ月経って、ようやく観ることができた。もちろんオリジナルCD2枚組は持っているし、拡大版も音だけはゲットしてすぐチェックした。でも映像となるとモニター前に拘束されてしまうから、やっぱり時間的余裕がないと観る気にならない。
それにそもそも『24 NIGHTS』自体、実はあまり好きなライヴ盤ではなかった。本来は『BEHIND THE SUN』『AUGUST』『JOURNEYMAN』とコンテンポラリーなスタンスを取っていた80年代後半のクラプトンの総括的ライヴだから、サウンド的には自分の嗜好に近いはず。なのに編集が散漫というか、無理に2枚組に詰め込んでしまって焦点がぼやけた、というか…。そのため今回の拡大版も、最初は購入せずにスルーしようかと思っていたくらい。しかも全部入りのスーパー・デラックス・ボックス(6SHM-CD+3Blu-ray Disc)が定価35000円超とかなりエクスペンシヴ。なのに国内流通仕様のモノはアッという間に予約完売。それじゃあ輸入盤で…と思ったら、何故かどこも国内流通仕様盤より更に高価。それで一度は諦めかけた。
ところがこの拡大版『THE DEFINITIVE 24 NIGHTS』。ラッキーなコトに、 [2SHM-CD+DVD] 3組の単体売りがあるじゃーないの
バラ売りは Blu-ray(Dolby Atmos入り)じゃないのがタマにキズだが、それでもひと組が定価6500円もしないので、3組全部揃えても20000円以下。…というコトは、スーパー・デラックス・ボックスでは、ハコの装丁や豪華ブックレット、リトグラフを+15000円で付けとるんかいッ
あ、ココはちょっと説明が必要ですね。
クラプトンは先の来日で日本武道館 100回公演達成が話題になったけれど、この『24 NIGHTS』の元になっているロイヤル・アルバート・ホールでは、クラプトンは200回以上のライヴを行なっている。特に87年からは長期公演を組むようになって、90年に18公演、91年に24公演を開催。その2年分をまとめたのがライヴ盤『24 NIGHTS』になる。そしてその公演内容は、4人編成、9人編成、ブルース・セッション、ウィズ・オーケストラという4つのフォーマットで構成され、それぞれ数日づつ開催された。そこから4曲つづをピックアップした、いわばダイジェストがオリジナル『24 NIGHTS』。しかし今回出た『THE DEFINITIVE 24 NIGHTS』は、4人と9人のバンド物を [ROCK] にまとめ、他を [BLUES] [ORCHESTRA] と、3組の2CD+映像版に再構成している。だからオリジナルの無理繰り感は解消しているワケだ。
そんなコスパの良さを感じて、俄然ポチる気になったものの、そこでもう1回冷静になった。2CD+映像が3組あったところで、ホントに繰り返し聴くか? 観るのか?と。確かにクラプトンは大好きだけど、よく考えれば、ブルース・カヴァー集やルーツ回帰傾向の強いアルバムはあまり聴かない。自分の場合は、コテコテのブルースではなく、クラプトンというフィルターで濾過された彼流儀のブルースが性に合うのだ。それ故 [BLUES] 編の購入は見送ることに。アルバート・コリンズ、バディ・ガイ、ロバート・クレイらとのゲスト共演は魅力的だが、今となってはクロスロード・ギター・フェスティヴァルの映像などもあるのだし。
…というワケで、[ROCK] と [ORCHESTRA] のみゲットで、納得のお買い物。4ピース・バンドは、クラプトン以下、グレッグ・フィリンゲインズ (kyd)、ネイザン・イースト (b)、スティーヴ・フェローニ(ds)で、曲によってフィル・コリンズが参加。9ピース・バンドは、基本の4人に、レイ・クーパー (perc)、チャック・リーヴェル (kyd), フィル・パーマー (g) と女性コーラス2人。オーケストラはその上に、マイケル・ケイメンが指揮するナショナル・フィルハーモニック管弦楽団が乗る。メンバーもシッカリとスーツやドレスでキメちゃったりして
曲によってはホーン・セクションも追加されている。
[ORCHESTRA] のスタートは、<Layla>の後半をイントロに荘厳なスタート。でもレココレ誌で萩原健太さんも書いてたけど、この共演、必要だったのかどうか、ちょいと微妙。<Bell Bottom Blues>とか<Holy Mother><Hard Times><Wonderful Tonight>あたり甘いメロディの楽曲ではそれなりに成功しているけれど、他は珍妙なヴァリエーション、という気がする。結局ケイメンとのコンビでBBCのドラマのために共作した<Edge Of Darkness>、同じく89年のチャリティー・ライヴで初演した<Concerto For Electric Guitar>をパフォーマンスしたいがためのショウだったのか? 特に後者は30分近い楽曲で、聴くのにちょっと勇気が要る。終盤の<Layla>あたりは、クラプトンもなかなか気持ち良さそうに弾き倒しているけれど。
対して [ROCK] 編は、なかなかに面白く、以前の『24 NIGHTS』を印象を覆す感覚。2フォーマットで2年間の音源、当然衣装とか髪型はクルクル変わったりするものの、演奏自体には一貫性があるから気にならない。時期的に『JOURNEYMAN』からの楽曲が多いが、そこにクリーム代表曲なんか入ってしまうと、<Cocaine>さえルーズに感じられる。逆に<Lay Down Sally>や<Knockin' On The Heaven's Door>のレイドバックぶりが心地よく。
…とまぁ、思いがけず『24 NIGHTS』の個人的再評価にも繋がった拡大版。どうにも価格設定には合点がいかないけれど、そこは皆さんに賢いユーザーになって戴いて。でも自分がホントに心待ちにしているのは、75年のライヴ『E.C.WAS HERE』のフル・ヴァージョンなんだがなぁ〜。
ところがこの拡大版『THE DEFINITIVE 24 NIGHTS』。ラッキーなコトに、 [2SHM-CD+DVD] 3組の単体売りがあるじゃーないの


あ、ココはちょっと説明が必要ですね。
クラプトンは先の来日で日本武道館 100回公演達成が話題になったけれど、この『24 NIGHTS』の元になっているロイヤル・アルバート・ホールでは、クラプトンは200回以上のライヴを行なっている。特に87年からは長期公演を組むようになって、90年に18公演、91年に24公演を開催。その2年分をまとめたのがライヴ盤『24 NIGHTS』になる。そしてその公演内容は、4人編成、9人編成、ブルース・セッション、ウィズ・オーケストラという4つのフォーマットで構成され、それぞれ数日づつ開催された。そこから4曲つづをピックアップした、いわばダイジェストがオリジナル『24 NIGHTS』。しかし今回出た『THE DEFINITIVE 24 NIGHTS』は、4人と9人のバンド物を [ROCK] にまとめ、他を [BLUES] [ORCHESTRA] と、3組の2CD+映像版に再構成している。だからオリジナルの無理繰り感は解消しているワケだ。
そんなコスパの良さを感じて、俄然ポチる気になったものの、そこでもう1回冷静になった。2CD+映像が3組あったところで、ホントに繰り返し聴くか? 観るのか?と。確かにクラプトンは大好きだけど、よく考えれば、ブルース・カヴァー集やルーツ回帰傾向の強いアルバムはあまり聴かない。自分の場合は、コテコテのブルースではなく、クラプトンというフィルターで濾過された彼流儀のブルースが性に合うのだ。それ故 [BLUES] 編の購入は見送ることに。アルバート・コリンズ、バディ・ガイ、ロバート・クレイらとのゲスト共演は魅力的だが、今となってはクロスロード・ギター・フェスティヴァルの映像などもあるのだし。
…というワケで、[ROCK] と [ORCHESTRA] のみゲットで、納得のお買い物。4ピース・バンドは、クラプトン以下、グレッグ・フィリンゲインズ (kyd)、ネイザン・イースト (b)、スティーヴ・フェローニ(ds)で、曲によってフィル・コリンズが参加。9ピース・バンドは、基本の4人に、レイ・クーパー (perc)、チャック・リーヴェル (kyd), フィル・パーマー (g) と女性コーラス2人。オーケストラはその上に、マイケル・ケイメンが指揮するナショナル・フィルハーモニック管弦楽団が乗る。メンバーもシッカリとスーツやドレスでキメちゃったりして

[ORCHESTRA] のスタートは、<Layla>の後半をイントロに荘厳なスタート。でもレココレ誌で萩原健太さんも書いてたけど、この共演、必要だったのかどうか、ちょいと微妙。<Bell Bottom Blues>とか<Holy Mother><Hard Times><Wonderful Tonight>あたり甘いメロディの楽曲ではそれなりに成功しているけれど、他は珍妙なヴァリエーション、という気がする。結局ケイメンとのコンビでBBCのドラマのために共作した<Edge Of Darkness>、同じく89年のチャリティー・ライヴで初演した<Concerto For Electric Guitar>をパフォーマンスしたいがためのショウだったのか? 特に後者は30分近い楽曲で、聴くのにちょっと勇気が要る。終盤の<Layla>あたりは、クラプトンもなかなか気持ち良さそうに弾き倒しているけれど。
対して [ROCK] 編は、なかなかに面白く、以前の『24 NIGHTS』を印象を覆す感覚。2フォーマットで2年間の音源、当然衣装とか髪型はクルクル変わったりするものの、演奏自体には一貫性があるから気にならない。時期的に『JOURNEYMAN』からの楽曲が多いが、そこにクリーム代表曲なんか入ってしまうと、<Cocaine>さえルーズに感じられる。逆に<Lay Down Sally>や<Knockin' On The Heaven's Door>のレイドバックぶりが心地よく。
…とまぁ、思いがけず『24 NIGHTS』の個人的再評価にも繋がった拡大版。どうにも価格設定には合点がいかないけれど、そこは皆さんに賢いユーザーになって戴いて。でも自分がホントに心待ちにしているのは、75年のライヴ『E.C.WAS HERE』のフル・ヴァージョンなんだがなぁ〜。