sunrizeinvisible man's band

クリス・クリスチャンやロジャー・ヴードリス、ティエラといったAOR寄りアクトからスタートした、ボードウォーク再発シリーズ。第2回リリースに続き、この3回目もソウル計5タイトルのラインナップ。まずはそこから2枚、グループ系のサンライズ、インヴィジブル・マンズ・バンドの2組をご紹介しよう。

サンライズは、新作がCDリリースされたのが記憶に新しいアイズレー・ブラザーズが珍しくプロデュースに当たった5人組。82年の本作が唯一のアルバムで、日本では20年ぶり、2度目のCD化。その時はビクターからのAOR系復刻シリーズの流れで、ナンと自分が解説を書いていた つまりそれだけソフィスティケイトされたメロウ・グルーヴ指数の高い作品と言える。サンライズの中核メンバー:エヴェレット・コリンズ(ds)やケヴィン・ジョーンズ(perc)は、アイズレーの『GRAND SLAM』や『INSIDE YOU』(共に81年)といったホンノリとAORフレイヴァーが漂うアルバムに参加していた御仁たち。そこにマーヴィン・ゲイ<Let's Get It On>の作者エド・タウンゼントの息子で、後年サーフィスを組むデヴィッド・タウンゼントが合流した。

AOR好きに歓迎されそうなのが、小気味良いギター・カッティングに流麗なストリングスが乗る<I Need You More Than Words Can Say>、マリン度の高い爽快ダンサー<I Just Wanna Make Sweet Love Tonight>あたり。スターター<Who's Stickin' It?>にはルドルフ・アイズレーが共作&コ・リード・ヴォーカルで参加し、何故かネイザン・イーストがシンセ・ベースを弾くエレクトリックなヘヴィ・ファンク(R&Bチャート19位)。<Come And Get My Lovin'>や<You Are The One>などの滑るような軽快ファンクも心地良く、アイズレーのソフト&ポップ・サイドをアーリー80'sのテクスチャーに仕上げた感が強い。それがこの傑作アルバム1枚だけで瓦解してしまったのは、ボードウォーク閉鎖とアイズレー分裂の不運に見舞われたからだろう。是非次を聴きたかったグループだ。

インヴィジブル・マンズ・バンド(透明人間の意)は、クラレンスやケニーらを擁すバーク兄弟のファミリー・グループで、ファイヴ・ステアステップス〜ステアステップスと名前を変えてきた。シカゴ出身でカーティス・メイフィールドの薫陶を受け、ジョージ・ハリスン主宰のダーク・ホースにも在籍。ケニー・バークはソロ・デビューもしていて、かの<Risin' To The Top>(82年)はレア・グルーヴ方面のアンセムになっている。インヴィジブル・マンズ・バンド名義ではコレが2作目で、日本では今回初CD化。バーク兄弟以外にも、トムトム84の片腕ディーン・ギャント(kyd)がメンバーとしてクレジットされている。彼はラムゼイ・ルイスの80's作品やケニーのソロ作、角松敏生『WEEK END FLY TO THE SUN』にも参加した実力派で、サー・ギャントと名を変えてからはマドンナやアニタ・ベイカー、ピーボ・ブライソンら大物と仕事をしている。2011年にはスムーズ・ジャズ寄りもリーダー作を出していたが、既に故人だそうだ。

アルバムは基本的に1作目の流れを受け継ぐモダン・ファンク作品。しかし今ではソウル・ファンにはあまり評判が良くなかったブラジリアン・メロウ・グルーヴ<Along The Way>のポイントが上昇。その辺りに注目すべし。