
ブラジリアン・グルーヴ・マスター:エヂ・モッタの、約5年ぶりとなる最新アルバムが間もなくリリース。エヂ自身からのご指名(?)により、3作連続でライナーノーツを書いてます。今回はCDとアナログ盤、国内同時発売。これまではライナーが入るのはCDのみで、アナログ盤ではスルーされるのがデフォルトだったが、今回はアナログの方にも拙解説が挿入されている。きっとフィジカル需要が、CDからレコードへ移ってきているのを反映しているのだろう。サブスクではなくフィジカルご所望の日本の音楽ファンには、多分喜んで戴けるのではないかな?
「アルバムのテーマは "ode to freedom(自由への頌歌)" だ。このアルバムには、多様多種のジャンルという絵の具を乗せたパレットを使ったんだ。だからソウル、ファンク、AOR、ジャズ、ブルース、ブロードウェイなど、多彩な楽曲が収録されている。僕にとって最大の目標は、たくさんのオーディエンスに様々な形のソングライティングやジャンルやサウンドの美学を体験してもらうことなんだ」
5年もブランクが空いたのは、やはりコロナ・パンデミックの影響。家でノンビリ過ごす事に慣れてしまい、昨年からようやく制作に取り掛かったそうだ。しかし一度始めると、中毒になったかのように仕事に取り組むことに。1曲に15〜20日を費やして、正解のない“完璧”を探し求めた。
「アルバムをレコーディングすることは、私にとって最も重要で一番愛していること。だからアルバムを作っている時は、いつも天国にいるような気分さ。死ぬほど疲れるし、睡眠不足になるし、体力維持のクスリもたくさん飲まなきゃならない。それでも天国さ。とにかく自分が納得できるまでやり続けるんだ」
ハッピーな気分になるのは、マスタリング作業が終わってからだそうだ。
ベーシックはブラジルのファースト・コールによるバンド・レコーディング。そしてホーン・セクションはデトロイト、ストリングスはチェコのプラハでの録音。L.A.で録ったバック・ヴォーカルには、ルーファスの初代シンガーで、クインシー・ジョーンズやアレサ・フランクリン、マイケル・ジャクソンなどとも共演してきたポーレット・マクウィリアムス、そして元スウィッチでジェイムス・イングラムの弟フィリップ・イングラムが参加している。
「L.A.とデトロイトのセッションは、カマウ・ケンヤッタがディレクションを手伝ってくれた」
カマウは前々作『PERPETUAL GATEWAYS』(16年)のプロデューサー。今ではスッカリ人気ジャズ・シンガーとなったグレゴリー・ポーターのコ・プロデューサーとして知られている。
タイトル『BEHIND THE TEA CHRONICLES』は、「私が書いたストーリーを表現できるタイトルを探した」結果。エヂは以前からブラジルの雑誌や新聞に、ワインやグルメのコラムを書いている。
「それぞれの楽曲に映画のようなストーリーがあってね。タイトルにミステリーを感じることができて、お茶を登場させる。実は最近、私はお茶に夢中なんだ。玉露という銘柄の、上品でちょっぴり複雑な味わいが大好きなんだ。イチゴのアロマのような香りが一時間くらい続くんだよね」
日本での人気を高めるキッカケになった13年作『AOR』以降、スティーリー・ダンからのインフルエンスをハッキリ主張しているエヂ。それはこのアルバムでも、<Slumberland>を筆頭に変わることなく。それに加えてエヂが名前を挙げたのは、クレア・フィッシャー、チャールズ・ステップニー、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハザウェイ、アントニオ・カルロス・ジョビン、モアシル・サントス、ノーマン・コナーズ、それにミュージカル系のスティーヴン・ソンドハイムやホーギー・カーマイケル等など。それがどの曲にどう反映されているのかは、実際にアルバムを聴き、エヂへのメール・インタビューを掲載した拙解説をお読みいただいてのお楽しみというコトで。
最近はシティポップの世界的ブームにより、その語り手として駆り出されることも多い。
「私が住んでいるブラジルの街でも、若い人中心にすごく人気が上がっていて、大貫妙子がナイトクラブやパーティーでプレイされている。私の中でのシティポップはAORに近いね。たまにコンテンポラリー・ハワイアンっぽさも強く感じるし、最初に日本に行って以来(03年)、シティポップは私の人生の中でとても大事になっている。日本に行く時は和ジャズとシティポップのレコードをたくさん持ち帰るんだ」
さすが、レコードコレクターとしても知られるエヂ。都内の某レコード店のオーナーとも懇意にしていて、盛んに情報交換を行なっているだけはある。
この新作リリースに合わせ、既にアメリカ、ヨーロッパ、南米ではツアーが組まれて、バンド・メンバーも増やしたとか。
「日本にも早く帰りたい。是非、福岡や大阪を含めた各地を訪れるツアーを組んでほしいね。北海道で新鮮なウニを食べるのが夢なんだ。一日中ウニを食べていたいよ。あぁ、その前には大トロと太ったブリもね。日本は魔法だ」
もちろん国内の音楽ファンの多くが、エヂの再来日公演を心待ちしています。
5年もブランクが空いたのは、やはりコロナ・パンデミックの影響。家でノンビリ過ごす事に慣れてしまい、昨年からようやく制作に取り掛かったそうだ。しかし一度始めると、中毒になったかのように仕事に取り組むことに。1曲に15〜20日を費やして、正解のない“完璧”を探し求めた。
「アルバムをレコーディングすることは、私にとって最も重要で一番愛していること。だからアルバムを作っている時は、いつも天国にいるような気分さ。死ぬほど疲れるし、睡眠不足になるし、体力維持のクスリもたくさん飲まなきゃならない。それでも天国さ。とにかく自分が納得できるまでやり続けるんだ」
ハッピーな気分になるのは、マスタリング作業が終わってからだそうだ。
ベーシックはブラジルのファースト・コールによるバンド・レコーディング。そしてホーン・セクションはデトロイト、ストリングスはチェコのプラハでの録音。L.A.で録ったバック・ヴォーカルには、ルーファスの初代シンガーで、クインシー・ジョーンズやアレサ・フランクリン、マイケル・ジャクソンなどとも共演してきたポーレット・マクウィリアムス、そして元スウィッチでジェイムス・イングラムの弟フィリップ・イングラムが参加している。
「L.A.とデトロイトのセッションは、カマウ・ケンヤッタがディレクションを手伝ってくれた」
カマウは前々作『PERPETUAL GATEWAYS』(16年)のプロデューサー。今ではスッカリ人気ジャズ・シンガーとなったグレゴリー・ポーターのコ・プロデューサーとして知られている。
タイトル『BEHIND THE TEA CHRONICLES』は、「私が書いたストーリーを表現できるタイトルを探した」結果。エヂは以前からブラジルの雑誌や新聞に、ワインやグルメのコラムを書いている。
「それぞれの楽曲に映画のようなストーリーがあってね。タイトルにミステリーを感じることができて、お茶を登場させる。実は最近、私はお茶に夢中なんだ。玉露という銘柄の、上品でちょっぴり複雑な味わいが大好きなんだ。イチゴのアロマのような香りが一時間くらい続くんだよね」
日本での人気を高めるキッカケになった13年作『AOR』以降、スティーリー・ダンからのインフルエンスをハッキリ主張しているエヂ。それはこのアルバムでも、<Slumberland>を筆頭に変わることなく。それに加えてエヂが名前を挙げたのは、クレア・フィッシャー、チャールズ・ステップニー、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハザウェイ、アントニオ・カルロス・ジョビン、モアシル・サントス、ノーマン・コナーズ、それにミュージカル系のスティーヴン・ソンドハイムやホーギー・カーマイケル等など。それがどの曲にどう反映されているのかは、実際にアルバムを聴き、エヂへのメール・インタビューを掲載した拙解説をお読みいただいてのお楽しみというコトで。
最近はシティポップの世界的ブームにより、その語り手として駆り出されることも多い。
「私が住んでいるブラジルの街でも、若い人中心にすごく人気が上がっていて、大貫妙子がナイトクラブやパーティーでプレイされている。私の中でのシティポップはAORに近いね。たまにコンテンポラリー・ハワイアンっぽさも強く感じるし、最初に日本に行って以来(03年)、シティポップは私の人生の中でとても大事になっている。日本に行く時は和ジャズとシティポップのレコードをたくさん持ち帰るんだ」
さすが、レコードコレクターとしても知られるエヂ。都内の某レコード店のオーナーとも懇意にしていて、盛んに情報交換を行なっているだけはある。
この新作リリースに合わせ、既にアメリカ、ヨーロッパ、南米ではツアーが組まれて、バンド・メンバーも増やしたとか。
「日本にも早く帰りたい。是非、福岡や大阪を含めた各地を訪れるツアーを組んでほしいね。北海道で新鮮なウニを食べるのが夢なんだ。一日中ウニを食べていたいよ。あぁ、その前には大トロと太ったブリもね。日本は魔法だ」
もちろん国内の音楽ファンの多くが、エヂの再来日公演を心待ちしています。