d4860c45.gifBBSで話題に出したので、改めて聴き直してみた。実は去年のAOR系新譜の中で、最もヘヴィ・ローテーションした一枚。やっぱ、これはかなりの好盤っすよ!

ご存知のように、ロバート・ラムはシカゴのキーボード奏者/シンガーで、デビュー以来グループの屋台骨を支えてきた重要人物。だがシカゴは『STONE OF SISYPHUS』がお蔵入りしてしまって以来、純粋なオリジナル・アルバムを出していない。出てくるのはスタンダード・カヴァーやクリスマス・アルバム、ライヴ盤、ベストと、企画・編集モノばかり。確かに新曲を含む作品もあったが、到底満足できる数ではなかった。結局最後のオリジナル作は91年の『21』で、もう13年前のことになる。それでもツアーは頻繁に行なっていて、来日も数回。これじゃまるでノスタルジア・サーキットのドサ廻りバンドだ。それなのに、メンバーは個々でアルバムを作っていたりして、何だかなぁ〜。シカゴは金集めのビジネス、ソロではホントにやりたいことをやるってことなのか。それともアルバムを作るだけのパワーや連帯感を失ってしまったのか?

これはロバートにとって4枚目のソロ。そのうち3枚が『STONE OF SISYPHUS』以降に作られている。それを順に聴くと、最初の2作はシカゴで出来ないようなコトをやっており、まさしくソロ・アルバムに相応しい内容だった。しかしここにはシカゴの新旧メンバーたちがこぞって参加し、もろシカゴって曲もいくつか収められている。ちょうど70年代の良い頃の彼らからブルース色を抜き、もう少しアコースティックでポップに仕上げた感じ。ホーン・アレンジなんてモロだし、今は亡きテリー・カスだって遺された音源で参加している。でもどうしてこれをシカゴでやらないの? アルバムの出来がいいだけに、そこが物凄く歯痒い。やっぱりメンバー同士のパワーバランスが崩れているのだろうか。ライヴならまだだしも、ニュー・アルバムとなると、楽曲提供の数とかアレンジとか、いろいろ軋轢が出るからねぇ。そういえばビル・チャンプリンだけはここに不参加だけど、自分の活動で忙しかったからかしら? それとも…!?

ちなみにこのアルバムはロバートの自主制作。日本では未だ発売の予定がない。大手の某レコード会社が一度交渉したが、契約はまとまらなかったようだ。でもこんな快作が紹介されないなんて、あまりに勿体ないよ。

なお、今年になって登場した『TOO MANY VOICES』は、99年作『IN MY HEAD』に未発表曲をプラスした新装盤で、新作ではないから要注意。