3b7f241d.jpgL.A.録音による角松敏生ソングの英語カヴァー集2枚がリリース。9月末にポップ編が発売されたのに続き、10月末にバラード編が登場する。それを機に某誌でまたまたインタビューさせてもらったので、今は文字起こしした原稿をまとめてる最中なのダ。
ぶっちゃけていうと、ボクは前から逆カヴァーというものにネガティヴな気持ちがあって、相手が角松じゃなければこの仕事は引き受けなかったかも。今だから言えるけど、受けたあとも音が届くまで“つまらない逆カヴァーだったらどーしよー”と、少々不安が拭い切れないでいた。ただ角松本人が一枚噛んでいるので、そう中途半端なモノは出て来ないだろうという安心感もあった。

で、そういうちょっと斜に構えた目で見ても、これは充分納得できるクオリティなのではないか、と。これまでにもいろいろな英語カヴァー・アルバムがあったけど、自分の知る限り、ホントに納得できたのはユーミンの『OVER THE SKY』くらい。あれが成功した要因は、アーティストが自分で歌う曲のアレンジまで手掛け、ユーミンの曲を完全に自分の作品に昇華させていたからだ。もちろん歌唄いの人は別の人がアレンジしていたが、その両者の距離はあまり感じなかった。あとは小田和正のカヴァー集に、何曲かそれなりのがあったかな。それ以外だと試聴機で聴いて買うのヤメタ、なんてケースもある。
要するにそれまでは、テキトーにアレンジャーを立て、テキトーに上手い人に歌を歌わせ、というパターンばかりだったのだ。シンガーにAOR系が多いのは、セッション経験が豊富で器用だから。それと制作側の人脈が届きやすいからか。正直言ってリスペクトされての参加なんぞロクに聞いたことがない。それなのに一部ファンは、●●が歌ってる、■■が弾いてるとありがたがっちゃって、なんだかなぁ〜って感じ。こんなの、アーティストの方だってビジネスなんだからねぇ。まぁギター・ソロなんかだと、ヤッツケで弾いた手クセ丸出しのソロの方がカッコ良く聴こえるってケースはあるだろうけど。

実は角松、逆カヴァー依頼は今回が初めてではなく、ずっと断ってたそう。理由はいろいろあるみたいだが、聴く側の勘違いをシッカリ指摘してたのはサスガだと思った。そういうヤツがようやくOKしたのだから、ダサイ作品になるわけがない。あるとすれば、ロック風やアコースティックなアレンジに対する好みの問題だけだろう。

カナザワのスイセンとしては、シカゴ風のホーンをバックにジェイソン・シェフが歌う<君を二度と離さない>、ハイ・エナジーなロック・チューンになった<Never Touch Again>、パトリース・ラッシェンが相変らずキュートな<Take It Away>、ジョセフ・ウィリアムス<Secret Lover>あたりが良かった。あと角松も言ってたが、ビル・チャンプリンの息子ウィルのエモーショナルなヴォーカルには要注目。

来月出るバラード編は、まだダビング前の音しか聴けていないものの、ジノ・ヴァネリが歌った<Still I'm In Love With You>が素晴らしい。2枚通して、頭ひとつ抜きん出た完成度になりそうな予感がする。何でもジノ自身が「次のアルバムに入れたいくらい」気に入ってたそうデス。意外にシンプルだったり、ウィスパー・ヴォイスで歌われた曲もあり、全体的にオリジナルのイメージを覆すアレンジが多く、カナザワとしてはバラード編の方が聴く機会が多そう。
そういえば、コチラにはあとでジェイ・グレイドンがギター・ソロをダビングする予定だそうですが、何でも奥様に暴力をふるってその筋にご厄介になってるらしく、レコーディングが遅れてるとか。まったくあのオッサンは、何を考えてるんだか。来日公演の話も高いギャラを吹っかけて立ち消えにしちゃうし。もし離婚訴訟にでもなれば、スタジオ付きの自宅を手放さなければならなくなる可能性だって大きいのに…。今だって大した仕事してないのに、これじゃあの天才ギタリストも落ちぶれるのは時間の問題だぞー!?

あ、最後にひとつ。先に出たポップ編は予定のCCCD仕様を回避してます。これはメデタイ!