16c7476d.jpgスターターの<Get Up 'N' GO>を聴いて即座に思い浮かべたのは、クルセイダーズやグローヴァー・ワシントンJr.。つまりファンキーでコクのあるソウル・フュージョンというかな。マイケル・ブレッカーのようにロジカルなサックスを吹く本田雅人が、こういう少々泥臭いブロウを聴かせるなんて、ちょっと意外なのだけど。でも確かにココには、70年代のKUDUレーベル物と同じ臭いがある。前作はもっとジャズ色が強かった印象があるが、今度のはヒップというか。分かりやすく言うと、ファーストがCTI、このセカンドがKUDUって感じ。
でも当の本田氏は、先日インタビューで「むしろ今度の方がジャズっぽいんじゃない?」と答えてくれた。実際、アルバムを聴き進むとビシビシとインプロヴァイズする曲があるし、内省的なピアノ・チューンもある。オープニングはファンク・チューンだけれど、アルバム全体がそうなったワケではないのだ。
ところが同席したSALT(塩谷哲)は、「ボクの中では、ジャズを意識したのはどっちかというとファーストの方で、その延長にソロでやってるピアノ・トリオがある」と明かしてくれた。自分の中のジャズ指向がトリオに向いたことで、Four of a Kindの新作はニュートラルに望んだようである。

メンバー4人がキャリア、実力、人気を兼ね備え、それぞれが個別に多忙を極めるミュージシャン。それだけに、おのおのが持つグループ像は統一されていないし、バンド活動に向かうスタンスも違う。だが1年近いリハーサルを重ねて作られた本作は、グループとしての一体感がより強くなった。サウンド・スタイルよりもFour of a Kindとして何ができるか、そこに重点が置かれている。

ボクは最初にサッと通して聴いただけで、前作よりも親しみやすさを感じた。それは何より、メンバー間のコミュニケーションが深くなっている証明だろう。