6bf2732f.jpg自分にとってヒジョーに思い入れのある作品が、なんとデラックス・エディションで再登場。当然1も2もなく飛びついた。単にボクとクラプトンの出会いとなったアルバムというだけでなく、ビートルズとメンバーのソロ作以外で、初めて買った洋楽LPがコレだったのだ。1974年、ボクが中学2年の時の話。しかもデラックスにつきものの未発表曲は、16曲中11曲が当時のライヴ。こりゃーどーにもタマラらない。
このアルバムは、名作『LAYLA』を発表したデレク&ザ・ドミノスの消滅後、麻薬に溺れて隠遁生活に入っていたクラプトンの復活作として、当時世界中で大変な話題を提供した。しかしその評価は必ずしも芳しいものではなく、レイドバックし過ぎだとか、ギターの神様がロクにギターを弾いていないとか、どちらかというと批判票の方が多かった。それでもボブ・マーリーのカヴァー<I Shot The Sheriff>は大ヒットとなり、レゲエを世に知らしめるキッカケとなった。

確かにゆるーいアルバムである。でも人間、緊張しっぱなしでは生きていけないのだ。当時のボクはクリーム時代のクラプトンなんて知らないから、ミュージシャンとしての彼に直に触れた。だから素直にこのアルバムに入っていけた。<Let It Glow>なんて涙チョチョ切れる名曲だし、スライドが飛び回る<Motherless Children>もカッコイイ。<Mainline Florida>なんてビシビシ弾いてるし。とにかくマイアミ録音ならではの、明るく溌剌とした雰囲気がボクは大好きだったのよ。だからこのアルバムは、今でも暑くなると時々ラックから引っ張り出して聴き直す。

で、問題は74年のライヴ。ここに収録されたのはロンドン公演だけれど、この時の一連のツアーでクラプトンは初来日した。当然ボクは観てないが、雑誌等などで賛否両論が沸き起こったのはよ〜く覚えてる。何せオープニング3曲がアコースティック・ナンバー。しかも初っ端からチャップリンの<Smile>でしょう。今ならともかく、ギターの神様を求めてる当時のファンは面喰らうわな。でも後半は<Tell The Truth>や<Little Wing>、<Badge>も出てくるし、それなりに弾いてる感じ。<Lyla>だって、最近の手慣れた感じと違い、なかなかにアグレッシヴ。後半の美メロ・インスト部がなく、そのまま<Let It Rain>に突入するあたりも面白い。まぁ、今だから言えるコトかも知れないけど。

そういえば、角松も『MORE DESIRE』を録った日比谷野音でのライヴで、<Motherless Children>をやっていた。多分、(鈴木)茂さんにスライド・ギターを弾かせたかったのだと思うけど、ボクら世代って、やっぱりこのアルバムに思い入れがあるんだよね〜。
<Change The World>や<Tears In Heaven>しか聴いたコトのない人に最近のブルース・アルバムはキツイと思うけれど、コレは是非とも聴いて欲しいな。