996f358c.jpgどうしたんだろうね、今回の突然のギャリー・グレン再評価は。2枚しかアルバムがないのに、それがほぼ同時に日本でリイシューされるなんて。しかもそれがタイアップではなく、まったくの偶然の出来事だったみたいだから驚く。オマケにギャリーと縁深いアニタ・ベイカーのカムバックも同時期でしょ? 普通だったら、アニタの復活を機に、重要なブレーンだった彼にも光が当たったと考える。けれど実際のところは、まったく別時限の話なのだ。
ギャリーの1stが、PPLレーベルのCD6枚組セットの中で初CD化されたのを知ったのは、確か9月頭だったと思う、そこで速攻で入手し、9/18にこのblogで紹介した( ココを参照)。そのあと、celesteの女社長M嬢に会う機会があり、本作(=2nd)再発の情報をゲット。ボクが驚いて1stがセットでCD化されたことを話すと、彼女はまだそれを知らなかった。その地点ではP-VINEが単体で国内リリースするなんて話はなく、ボクはどうせならcelesteで両方やったら?なんて思ったのだ。
でもインディであるcelesteがモータウンから出ている本作の発売許可を得るのは、それなりの手間がかかるはず。一方のP-VINEにしても、原盤権を持つ米PPLが1stをCD化しなければ、国内リイシューなんてあり得ない。コレすなわち、アニタ復活なんか関係なかったという証明。でもそれが同時に起きた、というのは、偶然にしちゃあまりに出来過ぎ。シーンの空気が80'sブラックにになびいている雰囲気は出始めたけれど、これはやはりシンクロニシティってヤツかも知れない。

で、肝心の内容ですが、これはもう80'sブラック・ファン必聴。AOR系のフリークも全然問題ナシというくらい、白っぽいアーバン・コンテンポラリーを聴かせる。分かりやすくいえばクワイエット・ストーム。何と言ってもアニタの<Rapture>の作者だし、フレディー・ジャクソンやジーン・カーンなどにもヒット曲をプレゼントしている。だから彼の曲がダサイわけがないのダ。そのうえシンガーとしてもなかなかしなやかなハイトーン・ヴォーカルを聴かせてくれる。姉貴がゴスペル・アルバムを出しているくらいだから、弟グレンも幼い頃から教会などで歌っていたのだろう。実はその姉貴、ボビー・ウーマックやチャプター8(初代ヴォーカルがアニタ)のアルバムを出したビヴァリー・グレン・ミュージックのビヴァリーさんである。

とにかく、たおやかなバラードがサイコー。時節柄、1stよりこちらの方がモア・スウィートな仕上がりだけれど、どっちもかなり良いデキです。

ただP-VINEさんに苦言をひとつ。1stの雑誌の広告などを見ると、キャッチの文中に「パワー・ステーションのロバート・パーマーが参加」と書いてある。でもこれって、西海岸でセッション・ギタリストをやってる同名異人(たぶん黒人)のハズなんだがのう…。