c14cd5f9.jpg実は先週から原稿攻め。引っ越し絡みで7〜8本が年明け一番に集中してしまった。うち3本が12月にスタートした【LightMellow's Choice】のアイテム。初回は洋楽AORのSteve Eatonの最新作だったが、第2弾は和モノ・ライトメロウ系から名盤3枚を選りすぐった。その3枚とは、元Sadistic Mika Bandの今井裕『COOL EVENING』、スタジオ・シンガーの実力派:木戸やすひろ『KID』、そしてこのSHOGUNの前身にあたるOne Line Band『YELLOW MAGIC』。2月中旬のリリースだから、さすがにケツ捲くって解説書いてるってワケだ。
で、このSHOGUN。中心人物の芳野藤丸さんとは暮れに会い、インタビューというか、取材をさせていただいた。その時の声を反映しつつのライナーになる。ダンディーで取っ付きにくいイメージがあったけれど、実際は非常に物腰の低い方でとても協力的。カナザワ的には山下達郎、角松敏生と並べてもイイくらい、日本を代表するサウンド・クリエイターだと捕らえている。だから91年に出た和モノ・ライトメロウのコンピでは、藤丸ワークスを大フィーチャー。そのあとに出たこの『COMPLETE SHOGUN』にも解説を寄せることができ、いちファンとして嬉しい日々が続いた。

この『COMPLETE』は、ソニーから出たSHOGUN名義の3枚のアルバム、シングルと藤丸ソロ名義のシングル1枚を網羅したもの。まさにコンプリートと謳うにふさわしいフル・ヴォリュームの2枚組だった。しかしそこには前身のOne Line Bandは影も形もない。レーベルが違うから仕方ないのだが、One Line Bandのアルバムは実質的にSHOGUNのファーストそのものだから、チョッと残念な気がしていた。それがようやくCD化できるのだから、これは喜ばしい。

藤丸氏が関わってきた他のAB'Sとか藤丸バンドとは違い、唯一ピンで名が通用するSHOGUN。それは<男たちのメロディー>(オレたちは天使だ!)とか<BAD CITY>(探偵物語)といったTVドラマのテーマ曲を担当し、それが売れたから。この『COMPLETE』のリリースも、松田優作人気に乗って『探偵物語』が注目されたから…という経緯がある。でもこうしてSHOGUNの活動の全貌を見ると、これらは彼らの音楽のごくごく一部であり、どうやら本音はそこにはなさそうだと分かる。さりとてヒットがあったからこそ、バンドが生きながらえたのも事実だろう。

とにかくONE LINE BANDのリイシューで、SHOGUN HISTORYはまさにコンプリートになった。そして彼らは今年、本格的な活動再開へと踏み出す。これからが楽しみだ。