sadistics『LightMellow's Choice』で2月にリリースする和モノ3本立ての1枚、今井裕『A COOL EVENING』の原稿を仕上げた。ホントは1週間前の入稿予定だったが、諸々あってようやく。発売日から逆算するとかなりヤバイ状況ですが(汗)…ってなワケで、今日は彼が籍を置いたサディスティック・ミカ・バンド〜サディスティックスの流れから。
これは77年に発表されたサディスティックスのファースト。ミカ・バンドの解散が加藤和彦夫妻の突然離婚という極めて私的な事情だったから、後ろを固めた4人にも物足りなさがあったのだろう。海賊をモチーフにしたアルバム・コンセプトは、もろに『黒船』に繋がる。シンガー不在が弱点と言えば弱点だが、そこはTan Tanやラジらのゲストがフォロー。大御所の灰田勝彦に得意なヨーデルを披露させたあたりは、彼らなりのリスペクト精神を飛び道具として使ったワケで、プレイヤー主体の編成なればこその芸当だろう。ある意味、ミカ・バンドが持っていたユニークな個性を、彼らサディスティックスが最もストレートに受け継いだ格好だ。それに比べると加藤和彦のソロは粋に走って笑いがなかったし、高中ソロも2枚目『TAKANAKA』がせいぜい。それこそ今井裕の『A COOl EVENING』の方が、よっぽどミカ・バンドらしいDNAを受け継いでた。
 そもそもセカンド『WE ARE JUST TAKING OFF』でも、民主的に曲を持ち寄ったら持ち前のユニークさは薄れちゃった(中身は良いが)。後に桐島かれんを入れて再結成した時のミカ・バンドだって、妙に真面目な音楽集団になっていて、ちょっと物足りなかったなぁ…。そう考えると、大阪生まれの今井サンのキャラって、かなり重要だったのかも。このサディスティックス・ファーストのジャケでも、美女を羽交い締めにしてるのは今井サンだし。

そうそう、再発盤『A COOL EVENING』では、今井さんご自身が書いてくれた”Self introduction" が読みモノですぞ!!