23bd8e5c.jpg最新のフリー・ソウル・コンピ盤『DRIVE WITH MAZE』のサンプル盤が到着。どうも以前、担当A&R氏と「MAZEを何とかしたいですねぇ」なんて話したのを覚えてくれてたようで。米国では揺るぎない大人気バンドのメイズなのに、ココ日本ではサッパリ。非常に完成されたアーバン・ソウルを聴かせる連中なのに、まさに通受けを余儀なくされてきた。それがこのフリー・ソウル・コンピでどこまで覆るのか、ちょっと楽しみである。
というわけで、カナザワは彼らMAZEのオリジナル・アルバムからのピック。89年に出た名作『SILKY SOUL』だ。リーダーのFrankie Beverlyは、かのMarvin Gayeから多大な影響を受けて来た人。実は売れないグループでくすぶっていた彼をメジャーに引き上げたのも、他ならぬMarvinだった。MarvinはMAZEの前身バンドを観て自分のバックに起用しようとFrankieに声をかけたが、Frankieはその要請を丁重に断りつつ、その代わりにMarvinの前座をやらせてほしいと申し出た。Marvinはそれを快く受け入れ、そこからMAZEの快進撃が始まる。何を隠そうMAZEという名前も、Marvinの勧めに従って新たに命名されたものだ。そしてココでタイトル曲として歌われた"Silky Soul Singer"とは、他ならぬMarvin自身。突然帰らぬ人となった彼への、これもトリビュート・ソングのひとつである。

MAZEのアルバムは、ベストを除いて全部で10枚ある。そのうち2枚はライヴ盤だから、デビュー28年にしてたった8枚のアルバムしか出していない。もちろん駄作は皆無。しかも最後のアルバムは93年の『BACK TO BASICS』だ。それでいて人気は今も衰えず、ライヴでの動員力は凄まじさを保っている。それだけライヴで叩き上げ、現在もそれを身上としているわけ。だから遠くはなれた日本には、その凄さが伝わってこない。確か80年代後半あたりに一度だけ来日したはずだが、ぜひ再来日を望みたいところだ。

思うに、これほど地味なスーパー・バンドなんて、きっと彼らの他にはいないだろう。ドラマーのMichael White、キーボードのWayne Lindsey、ギターのVernon Blackなど、その筋の敏腕セッション・マンたちも、密かにMAZEに参加してたりする。現在日本で活躍し、SAKURAのご主人としても知られるPhillip Woo (kyd) も、このMAZE出身。ボクはMAZEを否定するような輩とは、お友達になりたくありません!