12e9f825.jpg某誌のブルーノート特集に参戦。でもブルーノートといってもゴリゴリのジャズではなく、拠点がL.A.へ移ったあとの72年にスタートしたBN-LAシリーズ(レコード番号に由来する通称)の特集だ。このシリーズは、いわゆるジャズ・ファンク系の作品ばかりをリリースしたもので、カナザワは70年代初頭のフュージョン初期の重要ポイントに数えている。だけど今まではココを軽視する評論家/ライターさんがほとんどで…。そこに大きなる不満を抱えておるワタクシなのだ! 

例えば、この流れは、近年のレア・グルーヴ・ムーヴメントによって俄に評価が高まったマイルス・デイヴィスの『オン・ザ・コーナー』とほぼ同時に始まったものだし、CTIの姉妹レーベルでソウル/ファンク寄りに展開したKUDUの動きとも連動している。当然それは、初期GRPのファンキー路線あたりに多大な影響を与えているわけだ。なのにDonald ByrdとかMarlena Shawらをおざなりに取り上げたり、あるいはクラブ・ジャズの括りに押し込んでしまったり。生粋のジャズ・ファンからコケにされ、まだ産声を上げたばかりのクロスオーヴァー・ファンはどうしてもロック寄り/テクニック指向に偏りがちだったから、リアルタイムではあまり注目されなかったのは仕方ない。しかし今こそ当時の歪んだ視点を是正すべき。そこには、みんな同じに聴こえてしまうスムース・ジャズより何倍、何十倍と興味深い音世界が広がっている。

そこで、まずこのGene Harris。かつてはゴリゴリのジャズ・ピアニストだったが、この時期のハリスはエレピ中心に弾き倒し、メロウ路線バリバリだ。アルバムでいえば74年『ASTRAL SIGNAL』、75年『NEXUS』、76年『IN A SPECIAL WAY』、そしてこの『TONE TANTRUM』になる。キー・パーソンはkeyboardのJerry Peters。BN-LAの重要人物と言えば、間違いなくLarry & Fonce Mizell兄弟(詳しくはココ)だけど、このJerryさんも忘れてはならない人。Harvey Mason (ds), Anthony Jackson (b), Chuck Rainey (b), Leon Chancler (ds), Robert Popwell (b)...といった有名処が集まったのも彼の手腕といっていいし、オマケにBN-LAシリーズの表看板 Donald Byrdも参加してる。
更にコレをプッシュするのは、第一に『IN A SPECIAL WAY』に続きEarth Wind & FireからAl McKay (g), Verdine White (b) が参加していること。そしてフリー・ソウル方面でも取り上げられたStevie Wonderの極上カヴァー<As>が入っているからだ。コレ、まさに今のスムース・ジャズを先取りしたような音作りで、しかも後半はバリバリのエレピ・ソロ。この柔硬一体のテクスチャーにはメロメロになること請け合いだ。