9b233cc9.jpgGino Vannelli久々の新作が出た、と言う情報を少し前にゲット。だが新曲は半分で、残りはベストという内容で、些か拍子抜けしたのは否定できない。しかし実際にこの『THESE ARE THE DAYS』を手に取り、ジャケのGinoの顔を見て、ちょっとした予感があった。「もしかして、今度こそ…!?」

何せ91年にライヴ・アルバムを出したあと、ジャズ・アルバム、まったり系バラード・アルバム、そしてオペラ〜クラシカル・ポップ系のアルバムが続き、いわゆる王道コンテンポラリー作品をまったく出していない。その手の最終作は90年の『INCONSOLABLE MAN』だから、実にもう16年が経っているわけだ。確かにジャズ・アルバムを引っ提げての来日はあったが、いくら完成度が高いといっても、今イチ馴染めなかったのが正直なところ。もちろんカナザワは大のGINOファンだが、この人なら何をやってもOKよん!というような盲信的ファンではないのダ。だからイタリア語でクラシカルに朗々と歌われても、ほとんど無視! これはもう作品の善し悪しじゃなく、求めているものが180度違うのである。それが大好きなGinoの作品だからといって、無理に好きになろうとは思わない。人にリコメンドもしない。気になる人だけ聴けば、と言うだけである。個人的には、それこそ幻のシングル曲を収めた欧州発のベストの方が嬉しかったくらいだ。

だけどこのジャケットのGinoには、かつてのふてぶてしさが戻ってきた気がしたのだ。実際は結構ナイーヴだけど、表向きは自信過剰に見えるくらいがGinoにはちょうど良い。そして音の方も、とうとうやってくれました! オープニングからして、どエラいファンキーぢゃないの! スケール、ドデカイぢゃないの!! 抱擁力全開ぢゃないの!!!

ま、今更『BROTHER TO BROTHER』や『NIGHTWALKER』ではないのは、言わずもがな。でもこのタイミングで気持ちをフラットにしてみると、不評を託った『BLACK CARS』や『BIG DREAMERS NEVER SLEEP』だって、決して悪くはないんだよね。ただ『BROTHER TO BROTHER』や『NIGHTWALKER』ほどポップでも凝ってもいないだけで、Ginoらしさはチャンと活きてる。分かりやすく言うと、今度のアルバムはちょうどその中間くらいのテイストか。打ち込みメインだけど、ジャズの香りも残していて適度にナマっぽい。個人的には<People Gotta Move>を思い出させる<Venus Envy>とか、ゆったり聴ける<Rock Me To Heaven>なんて、メッチャ好きです。

後半7曲は<I Just Wanna Stop>とか<Living Inside Myself>とか、まさに代表曲中の代表曲を網羅。<Hurts To Be In Love>なんて涙チョチョ切れの大名曲も入っているから嬉しい。これで新曲に後半のようなレヴェルの曲が出てくれば、もう言うことナシだ。この『THESE ARE THE DAYS』はとりあえずハーフ・ニューでいいけれど、次はどうかこうした方向性を維持したまま、ガツンとフル・アルバムでお願いしますよ。