9cde311f.gifサンプルの白盤が届いたあとで、プリンスから突然のダメ出しがあり、お蔵入りし掛かっていたプリンスの2枚組ベスト『ULTIMATE』。それが先月、ようやく半年ぶりで発売された。その延期の理由はまったくもって不明なのだが、まぁ、そこはプリンス様ですから…(苦笑)

内容はワーナー時代の音源を完全網羅したもので、1枚目がシングル曲集、2枚目がリミックスやレア音源を収録。封印されていた12インチ曲なんて、かなり面白いテイクがテンコ盛りである。そういう意味では、プリンスをあまり深く追求して来なかった自分のような人間には、かなり楽しる内容だ。

プリンス信者の人が聞いたら怒るかも知れないが、自分はワーナー末期、彼がNew Power Generationを率いて活動するようになった頃から、プリンスをあまり積極的に聴いてこなかった。ハッキリした理由は考えてないが、だんだんシックリ来なくなったというか…。その予兆は『AROUND THE WORLD IN A DAY』くらいから徐々に出ていたから、単純にいえばポップじゃなくなったというコトかも知れない。もっとも最近の2〜3作は、かなり面白いと思ってますケド…。

でもこのワーナー期中期までのプリンスは、かなり好きかも。『CONTROVERSY』とか『1999』あたりは、当時かなり聴き倒しましたモン。『PURPLE RAIN』は「狙ってるなぁ!」って感じ。でも彼の才気が一番分かりやすく発露を見出した、という点では、大好きな一枚。『BATMAN』も同様にね。ただ当時のメディア戦略とか、爬虫類的なイメージは、ちょっと勘弁かも(苦笑)。とはいえ、ただのセッション・プレイヤーだったシーラEや、お嬢さん的だったシーナ・イーストンをイッパシの女性アーティストに仕立てたのが、プリンスの毒気だったことは間違いない。

とにかく作品ごとに方向性を変え、時にファンを右往左往させる彼。でもその個性の強さとクリエイティヴィティ、過去を振り返らずに前進していく力強さは、他の追随を許さない。かつてはリック・ジェイムスやマイコーと比較されて来たけれど、当時キワモノ扱いされた彼が、今では一番マトモで生気を保っている。リックなんてホントに死んじゃったし…。

アーティストが進化を止めたら、やがて人気は落ち、いずれは自分を見失うだろう。進化は現状維持を望むファンを切り捨てる形になるかも知れないが、新しい自分を示せば、そこに新しいファンも生まれてくる。アーティストに過去の栄光を強要するのは、間違いなくファンのエゴだ。かといって、やりたい放題をやれば、アーティストだってファンから見放される。まぁ冷静に考えれば、7:3or6:4くらいでファンが追随してくれれば、成功じゃないっすか? プリンスの場合も、名前をシンボルマークに変えたのは明らかにやりすぎ。でもその後は進化を遂げつつ、微妙に軌道修正しているワケだし。このまま以前ほど売れないままだったとしても、プリンス本人にしてみれば、悪戦苦闘しながら、自分で思う最善の道を歩んでいるのだろう。だからそこに大きな後悔はない。あるとすれば、将来への教訓のハズだ。

って、プリンスの話をしてるのに、何だか角●のことみたいになっちゃった(苦笑)。ウーン、この2人、ミュージシャンのスタンスとしては、案外似ているのかも…。