f5a26880.jpgレコ・コレ誌レビューの執筆のため、ずっとラウンジーなソフト・ジャズ物を聴いていたせいか、チョッとハードなのを聴きたくなって、目についたのがコレ。ヴァン・ハイヘンのプロトタイプとなった知られざる名グループ、モントローズを解散させたロニー・モントローズ(g)が、ソロ活動を経て、79年に立ち挙げた5人組ガンマのセカンド『GAMMA 2』(81年)である。

モントローズについてはすでにココココでも紹介している。でもホント、ロニーは悲運のギタリストと呼ぶに相応しいヒトで、モントローズもガンマも素晴らしいアルバムを作ったにも関わらす、商業的には成功らしい成功を得られなかった。それ故に方向性に迷いが生じ、バンドを長く維持できずに終わっている。しかも一度ではなく二度までも…。

このガンマも、名前とリード・シンガーこそ変えているが、実際は後期モントローズの延長。いわゆる産業ロック寄りのアメリカン・ハード・ロックを追求している。現にガンマのデビューに当たっては、ジム・アルシヴァー(kyd)、アラン・フィッツジェラルド(b)というモントローズ解散時のメンバーを呼び戻し、このセカンドではアランと入れ替わりに盟友デニー・カーマッシ(ds)が復帰した。彼らがガンマ後に、それぞれナイト・レンジャー、ハートなどで活躍するのはご存知の通りである。
特にロニーは当時絶頂期だったフォリナーを意識したのだろう、ガンマの看板ヴォーカリスト:デイヴィ・パティソンは、声・スタイル共にルー・グラムによく似ている。

そうしたデビュー時の路線は、この『GAMMA2』でも引き継がれている。ただしこの頃からL.A.メタルの隆盛が起きたこともあって、モントローズの傑作ファーストを思い出させるようなハードな仕上がり。ガンマの3作では、これが一番ソソってくれるのは間違いない。アートワークもカッコ良いしね。あとはシングル・ヒットがあれば、どうブレイクしても不思議じゃなかった。

サート・アルバム『GAMMA 3(ムーヴィング・ヴァイオレーション)』もなかなかの力作。そこではフォリナーっぽさが薄れた分、シンセが幅を利かせてダイナミクスを増した。その変化の主は、新加入のミッチェル・フルーム! まったくロニー・モントローズという人は、率いたバンドは大して売れないのに、人材発掘の目だけは確かな様子。となると、足りなかったのは、曲作りの才能だったのかなぁ〜? それでもサミー・ヘイガーを擁した第一期モントローズが成功してたら、ロニーの未来はまったく違っていたと思うぞ。