8e093b07.gifスポーツジムから帰ってきたら、相方がケーブルTVで映画『デトロイト・ロック・シティ』を鑑賞中。こちらも横になって観るとはなしに観ていたら、いつの間にか引き込まれてしまったりして…(苦笑)

とっくに観た!という方も多いと思うが、一応説明しておくと、この映画はタイトル通りキッスの名チューンにちなんだ作品。キッスの大ファン4人組が、懸賞で当たったはずのチケットをゲットできず、あの手この手で会場に潜り込もうとするという、いわば青春コメディ。4人それぞれにズタボロになりながらも、最後まで諦めず、結局はラッキーにもチケットを手に入れて、生キッス、生の<デトロイト・ロック・シティ>を堪能する。その時の4人の感激の表情が生々しくて、思わず自分の中坊時代が浮かんで来てしまった。
あぁ、最初に観た外タレはグランド・ファンクだったなぁ…、初めて自分でチケットを買ったのはレインボーの初来日だったなぁ…なんて(遠い目)。そういえば、プレイガイドのあるデパートの前で、寝袋に入って夜明かしなんてコトも何度か。まだチケットぴあも何にもなかった時代の話である。

そんなことを思い出しつつ、たまたま中古でゲットしたばかりだった、この『CLOSER TO HOME』の紙ジャケ盤をCDプレイヤーにイン! 実はグランド・ファンクの紙ジャケって、一番なくなるのが早そうなギミック・ジャケ『戦争をやめよう』、もっとも愛着のある『アメリカン・バンド』『輝くグランド・ファンク(SHINE ON)』『ハード・ロック野郎(世界の女はご用心)』『ツアー'75(CAUGHT IN THE ACT)』しか買ってなかったのダ。
ところが所用の合間にふと立ち寄った某ショップで、初期GFRで一番好きなコレを発見、条件反射のようにレジに差し出してしまったワケで…。ホントは「買ったところで、いつ聴けるのやら…」とタカを括っていたのだが、こうしてヒョンなことから速攻で聴くことになった。

このアルバムを初めて聴いたのは、多分高校1〜2年の頃だったか。彼らの武道館ライヴを観て以来、GFRのアルバムをポツポツ買い揃えていったカナザワ少年。でも当時は廃盤が多く、『不死鳥』以降と廉価再発された『GFR登場(ON TIME)』『グランド・ファンク』『ライヴ・アルバム』くらいしか手に入らなかった。それこそ、中古盤屋の存在もよく知らなかった頃。だから地元周辺のレコード屋をグルグル探しまわって『サバイバル』や『戦争をやめよう』を手に入れ、ようやく最後に場末のデパートに入っていた潰れそうなレコード屋で、このアナログを見つけたのを覚えている。その時の感動ったら、なかったスヨ。だからこのアルバムは、エレピやストリングスを入れて音楽性をグイグイッと押し広げた内容もさることながら、そうした個人的思い入れと共に、何とも忘れ難い一枚になっている。

こういう稼業をやっていると、音源をタダで貰えたり、ライヴに招待されたりと、いろいろな役得がある。それでも足らないカナザワは毎月●万円をCD購入に費やしているが、同業者の中には探究心もあまりなく、ほとんど自腹でCDを買わない人もいるそうな…。まだ駆け出しの頃、とあるA&R氏とCDショップで遭遇した時、「カナザワさんはご自分で買う方なんですね」と言われ、ビックリしたものである。

でもやっぱり自分は、音楽を買って楽しむ人の気持ちを忘れたくないし、忘れちゃイケナイと思っている。初めてライヴを観た頃の素直な感動を、ずっとずっと失わないでいたい。レビューやココでは時に辛口のコトも書くけれど、基本的に音楽ライターなんて、そんな偉そうなモンじゃないよ。