
だが革新的ではないものの、フュージョンとして完成度の高い作品、充実したアルバムというのは、少なからず存在している。特に日本では、米本国では見過されがちなセッションメンに目を向け、日本独自にアルバム制作を行なってきた。Electris Birdが紹介した、ニューヨークのジャズ・スポットで活動していたグループ、フレンチトーストもそのひとつ。ジャズ系では珍しいフレンチ・ホルン奏者のピーター・ゴードンが79年に結成し、メンバー・チェンジを重ねながらもコンスタントにライヴ活動を展開。84年に作った唯一のアルバムが、この『FRENCH TOAST』だった。
その内容は、まさに典型的なN.Y.産フュージョン・アルバム。だからJ-フュージョン物みたいにテクニックの応酬ではなく、ゆったりとしたサウンド・テクスチャーに乗りつつ、聴かせ処はガッチリ掴んだ作風である。短い曲でも5分半、9分以上の長尺曲が2曲もあって、余裕をカマしたインタープレイを披露。これが、チマチマと詰め込みすぎのJ-フュージョンとの大きな違いだ。
しかもこのグループ、キャリア組と若手のバランス感が良く、演奏に勢いが迸っている。特に注目したいのは、ミッシェル・カミロ(kyd)とデイヴ・ウェックル(ds)。今やソロで活躍するカミロも、当時は未だ無名で、彼の十八番<Why Not>もこのフレンチ・トーストが最初に取り上げたとか。ウェックルもまだチック・コリアのバンドに加入する前。このアルバムで聴けるガッド張りのドラム・ソロには、かなり驚嘆した覚えがある。いえね、このアルバムでは当のガッドが叩く曲もあるので、カナザワはてっきりガッドのプレイだと思い込んでいたワケです。それがある時クレジットを確認したら、あらー、これ新人の方なんだ!と。多分自分がウェックルの名を意識し始めた、ごく最初の頃ですね。
キャリア組では、ベースにアンソニー・ジャクソン、トランペットにルー・ソロフといったところ。ルーはこの頃になると自分のソロ・アルバムをバンバン作り始めて、デヴィッド・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・クインテットでも活躍し始める。もちろん、初のリーダー・グループでの作品となるピーター・ゴードンもノリノリだっただろう。そうしたメンバーたちのポジティヴなエネルギーが、このアルバムには詰まっている。80年代も中盤になると、スタッフやブレッカー世代はもう個別の道を歩み出していた。でも彼らの控え組や次の世代がメキメキ頭角を現していた頃で、隠れた好盤が意外と多い。シーンを揺るがすような大それたコトはできなかったけれど、彼らのようなミュージシャンがいるからこそ、シーンが活気づくのもまた事実なのだ。
個人的には、サックスのボブ・ミンツァーの1〜2枚目とかデヴィッド・トファニ、それに故マーク・グレイ(kyd)、CD化されたものの激レア盤と化しているホルヘ・ダルトあたりの日本制作盤を出して欲しいぞ!
その内容は、まさに典型的なN.Y.産フュージョン・アルバム。だからJ-フュージョン物みたいにテクニックの応酬ではなく、ゆったりとしたサウンド・テクスチャーに乗りつつ、聴かせ処はガッチリ掴んだ作風である。短い曲でも5分半、9分以上の長尺曲が2曲もあって、余裕をカマしたインタープレイを披露。これが、チマチマと詰め込みすぎのJ-フュージョンとの大きな違いだ。
しかもこのグループ、キャリア組と若手のバランス感が良く、演奏に勢いが迸っている。特に注目したいのは、ミッシェル・カミロ(kyd)とデイヴ・ウェックル(ds)。今やソロで活躍するカミロも、当時は未だ無名で、彼の十八番<Why Not>もこのフレンチ・トーストが最初に取り上げたとか。ウェックルもまだチック・コリアのバンドに加入する前。このアルバムで聴けるガッド張りのドラム・ソロには、かなり驚嘆した覚えがある。いえね、このアルバムでは当のガッドが叩く曲もあるので、カナザワはてっきりガッドのプレイだと思い込んでいたワケです。それがある時クレジットを確認したら、あらー、これ新人の方なんだ!と。多分自分がウェックルの名を意識し始めた、ごく最初の頃ですね。
キャリア組では、ベースにアンソニー・ジャクソン、トランペットにルー・ソロフといったところ。ルーはこの頃になると自分のソロ・アルバムをバンバン作り始めて、デヴィッド・マシューズ率いるマンハッタン・ジャズ・クインテットでも活躍し始める。もちろん、初のリーダー・グループでの作品となるピーター・ゴードンもノリノリだっただろう。そうしたメンバーたちのポジティヴなエネルギーが、このアルバムには詰まっている。80年代も中盤になると、スタッフやブレッカー世代はもう個別の道を歩み出していた。でも彼らの控え組や次の世代がメキメキ頭角を現していた頃で、隠れた好盤が意外と多い。シーンを揺るがすような大それたコトはできなかったけれど、彼らのようなミュージシャンがいるからこそ、シーンが活気づくのもまた事実なのだ。
個人的には、サックスのボブ・ミンツァーの1〜2枚目とかデヴィッド・トファニ、それに故マーク・グレイ(kyd)、CD化されたものの激レア盤と化しているホルヘ・ダルトあたりの日本制作盤を出して欲しいぞ!
このアルバムは記憶になかったですねえ。
私もMark Gray『Boogie Hotel』とか、
Jorge Daltoの諸作がCDにならないかとは
思っています。
でもそんなに売れないだろうし…(涙)