6e332433.jpg『SILVER MORNING』と並ぶケニー・ランキンの代表作、77年発表の『THE KENNY RANKIN ALBUM』が彼自身のレーベルからリイシュー実現。先日、インディー専門の海外ネット・ショップ、CD BABYから到着した。日本では既にワーナーからCD化されていたけれど、もうだいぶ前から入手困難。ワールドワイドでは初CD化かも(出てましたっけ?)

いずれにせよ、リマスターされたのは今回が初めてで、ドン・コスタによるゴージャスなオーケストラが、ゆったりと滑るように流れてくる。ケニーの歌声もいつも以上にキラキラと透明感に溢れ、ピーンと張り詰めた空気感を漂わせて、まるで水晶のよう。『SILVER MORNING』はそんなケニーと歌声と、フォーキーなアコギのぬくもり感が絶妙なバランスを保っていた。でもコチラは、オーケストラを従えてのヴォーカル・アルバム。美しくもメランコリックな芸術作品といった趣で、和むというよりも精神を浄化してくれるような感覚がある。

楽曲もスティーヴン・ビショップ<On And ON>、ジョー・コッカーの名唱で知られる<You Are So Beautiful>、ラスカルズ<Groovin'>、ビートルズ<While My Guitar Gentry Weeps>などの有名カヴァーにオリジナルが3曲ほど。とりわけオープニングに置かれたハンク・ウィリアムス<House Of Gold>の美麗さに魅せられる。もう10年以上前だろうか、この曲が車のCMに使われたのを初めてTVで見た時は、腰を抜かすほど驚いた。夏の避暑地、朝もやの中を走る、そんな画像だったような…。ケニー聴くなら、まず『SILVER MORNING』かこのアルバムですね。

ちなみに現在のところ、日本盤が出る可能性は、ほぼゼロに等しいみたい。『SILVER MORNING』とコレは、わざわざケニーが自分で権利を買い戻して自主レーベルから再発したのだが、それを日本のレコード会社にライセンスする気持ちはまったくないらしく…。掲示板でもちょっと触れたが、既に大小のメーカーがケニーにアプローチしたが、どこも丁重に断られている。接触した人の話だと、ケニーと個人的に繋がりがあって、よほど信頼されている人が仲介でもしないと、ちょっと無理っぽいそう。しかもショップへ卸すことにも応じてないから、CD BABYがほぼ唯一の窓口だ。都内拠点の某ショップで、普通のCDの倍の値段で売られているのは、一般と同じルートで仕入れた物を転売しているからである。

彼の神経質な性格は、こういうビジネス面にも表れてますね。ホントはファン層を広げる良いチャンスなんだが…。でもCD BABYならば、中学生程度の英語力とカードされあれば簡単にお買い物できますヨ。

THE KENNY RANKIN ALBUM
SILVER MORNING