a15f1d65.jpgアル・クーパー番外編。彼のソロを聴くなら、やっぱり名曲<ジョリー>が入ってる『赤心の歌』とか、セカンド『孤独な世界』あたりがオススメながら、「へぇ、このアルバムって、こんなだったんだ」という発見があって。要するに、紙ジャケ中古を安価で見つけたからこその収穫。多分アル・クーパーの熱心なファンでもなけりゃ、ココまで聴いちゃいないでしょ(←自分も!)

アル・クーパーが積極的にソロ活動してた期間というのは意外に短くて、69年『I STAND ALONE』から72年『赤心の歌(NAKED SONGS)』までに集中している。そのあとはサウンズ・オブ・サウスというレーベルを立ち上げ、レーナード・スキナードを売り出すワケだ。76年に一枚ポツッとソロ作を出したあとは、再び沈黙。更に6年たってようやく出したのが、この『CHAMPIONSHIP WRESTLING』。ただしこのアルバムは、イーグルスで名を上げたビル・シムジクをプロデューサーに迎え、スティーリー・ダン〜ドゥービー・ブラザーズを渡り歩いたジェフ・バクスターのギターを大フィーチャーするという、スタジオ・セッション的なアルバム。ヴォーカルにもヴァレリー・カーターやミッキー・トーマスがいるし、インスト曲もアリ。なんとアル・クーパー自身は2曲しか歌っていない。

でもコレが、アルとは関係のないところで、ライトメロウ的にはなかなか面白くて。いわゆるソウル〜R&Bベースのセッションで、しかも年代は82年。バックにはタワー・オブ・パワー、エリオット・ランドール(g)、エド・グリーン(ds)などもいる。フュージョン・ライクなインスト曲のリズム隊は、おそらくヴィニー・カリウタ(ds)とニール・スチューベンハウス(b)。つまりジノ・ヴァネリ『NIGHT WALKER』と同じコンビよる同時期の録音なワケで、当然若き日のヴィニーが炸裂してる。

歌モノでは、やっぱりヴァレリーちゃんがキュート。典型的な西海岸テイストのミディアム・シャッフルと、ホーンの効いたファンキー・チューンでちょっとシャウト気味のソウル・ヴォーカルを披露。ミッキー・トーマスの歌う曲は、どうも聞き覚えがあると思ったら、シー・レヴェルのカヴァーだった(まにあっくぅ〜!)

ってなワケで、本来はアル・クーパーのヴォーカル曲がハイライトなんだけど、それ以外にも思わぬ聴き処アリ。アル・ファンにはお遊び的一枚で評価の対象外なんだろうが、視点を変えれば決して駄作ではない。そーそー、05年に出た久々の新作『BLACK COFFEE』も、もっとちゃんと聴かなくっちゃ!