
ちなみにダンといえば、どうしてもイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーってコトになる。ところが、ずっとナッシュヴィルを拠点に活動していた彼らが、79年に『DR.HECKEL AND MR JIVE』というL.A.録音のアルバムを作った頃から、どうも雲行きが怪しくなっていた。片やダンは、この新しい路線を推進してどんどん積極的に活動したい、片やジョンは2人やシールズ&クロフツなど(ダンの兄ジムがいた)、彼らの周辺の人々が揃って入信していたバハイ教にどっぷりハマり、音楽活動より布教に情熱を燃やすようになっていた。
かくして2人はデュオを解消し、ダンは80年にファースト・ソロ『STONES』を出したワケ。このファースト・アルバムはセールス的には今イチ伸び悩んだが、内容はかなり充実していて。L.A.ミュージシャンの貢献も然ることながら、ポール・ブリス作でエイミー・ホーランドでお馴染み<How Do I Survive>、トム・スノウが書いた好ポップ・チューン<Holdin' Out For Love>など、収録曲が充実。AORとポップ・カントリーの均衡を保ったサウンドメイクも、なかなかツボを得ていた。
しかしこれが思ったほどの成果を挙げなかったため、ダンとプロデューサーのカイル・レーニングは、思い切った賭けに出る。それは前作の均衡を破り、もっとコンテンポラリー路線に傾倒すること。おそらくダンと同じテキサス生まれで、スター街道驀進中だったクリストファー・クロスを意識したのだろう。ナッシュヴィルに落ち着いたことを除けば、制作フォーマット自体は前作とほぼ同じ。しかしながらアレンジやサウンドメイクは、如何にも80'sっぽいテイストにチャレンジする、それがこの『HARBINGER』。“先駆者・前兆”を意味するタイトルも、まさしくダンの心境を表していた。
ウィルソン・ブラザーズの提供曲、エアプレイ<It Will Be Alright>のリメイク、リック・ボウルズやグレン・バラードの作品など、相変わらずツボを押えた選曲。しかしやっぱり、狙いとしては少々やり過ぎというのが正直なところか。イヤ、AORアルバムとしちゃ、コレでいいと思う。でもダンの個性を考えたら…。ダンに似合うのは、やっぱりパーカー・マッギーやランディ・グッドラムあたりの穏やかなバラードであって、決してエアプレイじゃないだろう。かくしてダンは次作から、カントリーに大きくシフト。やがてそちらのフィールドで成功を手にする。
その礎としてこのアルバムがあったことを、AORファンは忘れずにいたいものだ。
Harbinger
Stones
かくして2人はデュオを解消し、ダンは80年にファースト・ソロ『STONES』を出したワケ。このファースト・アルバムはセールス的には今イチ伸び悩んだが、内容はかなり充実していて。L.A.ミュージシャンの貢献も然ることながら、ポール・ブリス作でエイミー・ホーランドでお馴染み<How Do I Survive>、トム・スノウが書いた好ポップ・チューン<Holdin' Out For Love>など、収録曲が充実。AORとポップ・カントリーの均衡を保ったサウンドメイクも、なかなかツボを得ていた。
しかしこれが思ったほどの成果を挙げなかったため、ダンとプロデューサーのカイル・レーニングは、思い切った賭けに出る。それは前作の均衡を破り、もっとコンテンポラリー路線に傾倒すること。おそらくダンと同じテキサス生まれで、スター街道驀進中だったクリストファー・クロスを意識したのだろう。ナッシュヴィルに落ち着いたことを除けば、制作フォーマット自体は前作とほぼ同じ。しかしながらアレンジやサウンドメイクは、如何にも80'sっぽいテイストにチャレンジする、それがこの『HARBINGER』。“先駆者・前兆”を意味するタイトルも、まさしくダンの心境を表していた。
ウィルソン・ブラザーズの提供曲、エアプレイ<It Will Be Alright>のリメイク、リック・ボウルズやグレン・バラードの作品など、相変わらずツボを押えた選曲。しかしやっぱり、狙いとしては少々やり過ぎというのが正直なところか。イヤ、AORアルバムとしちゃ、コレでいいと思う。でもダンの個性を考えたら…。ダンに似合うのは、やっぱりパーカー・マッギーやランディ・グッドラムあたりの穏やかなバラードであって、決してエアプレイじゃないだろう。かくしてダンは次作から、カントリーに大きくシフト。やがてそちらのフィールドで成功を手にする。
その礎としてこのアルバムがあったことを、AORファンは忘れずにいたいものだ。
Harbinger
Stones