20e777c5.jpgカナザワが監修/プロデュースしているシリーズ【LightMellow's Choice】。2月のリリースは、諸般の事情で発売がズレ込んだデヴィッド・ポメランツの近作2枚が14日に、そして一週遅れて21日に、ワーナー原盤のブルース・ロバーツ1stとジョージ&Gの本邦デビュー盤『SO MUCH TO SAY』がリリースとなる。そのジョージ&G、国内盤のジャケットを、ここに初公開!

このジョージ&G、名前はグループみたいだが、実はポーランド出身、現在はスウェーデンに本拠を置くシンガー・ソングライター/ギタリスト、George Grunwaldのソロ・プロジェクト。日本ではこれがデビュー作になるが、ヨーロッパではかなりのキャリアを持つベテランだ。しかも一時はL.A.でセッション活動していて、デヴィッド・フォスターと親交を持ち、TOTOやシカゴ、ジョージ・ベンソン、ナタリー・コール、サンタナ、チック・コリアらとセッションした経験がある。

そうした縁で、このアルバムにはバック・ヴォーカルでビル・チャンプリンにジェイソン・シェフ、ジョセフ・ウィリアムス(元TOTO)にルー・パーディニ、ウォーレン・ウィービーが参加。北欧録音のリズム・トラックにバック・ヴォーカルを被せている。更にアレックス・リジャートウッドはデュエットを披露、サックスのエリック・マリエンサルもソロで華を添えた。ちなみにマリエンサルとは、北欧で共演アルバムを出すほどの親友同志。また98年に亡くなったウォーレン・ウィービーが入っていることから、このアルバムが長いレコーディング期間を経て、周到に準備されてきたことが分かる。しかもこのヴォーカル録りは、ウォーレンが旅立つ直前に行なわれたもの。そのほとんどはビルの自宅スタジオで録られたそうで、ビルによれば、ウォーレン最後のレコーディングだった可能性が高いという。ジェイソンの入った曲のコーラスは、どこかシカゴ風。ジョセフもなかなか頑張っている。

しかしそれでも、豪華ヴォーカル陣の存在が霞んでしまうほど、楽曲自体のクオリティが高くて。最近国内で出る北欧AORモノには、メンツが良いだけで中身は……なのが目につくが、もしそうだったら決して日本リリースには踏み切らない。でもコレはメンツ関係なしでも出したい!と思ってしまうほど。まさ全編捨て曲ナシで、ちょっとジャムっぽい曲もアルバムの中でちゃんとポジションを得ている。とりわけビートの効いた曲が充実。カナザワ的には、90年代以降に初めてアルバムを出したAORアーティストとしては、ビル・キャントスやルー・パーディニ級だと思っている。それくらいハイ・レベル。ちなみにプロデューサーは、マイケル・ラーンズ・トゥ・ロックを手掛けたことで知られるデンマークの敏腕、オリ・プールセン。最近マニアの間でCorin & Edmanなんていう北欧のユニットが話題になっているが、ジョージの方が数段上だろう。実はジョージの作曲パートナーがCorin & Edmanを手掛けているのだが、彼らは自作曲で勝負してるから、そこに大きな差が出た。

本人ジャケで先行発売されたシンガポール盤も好評らしく、インドネシアやマレーシア、タイでも売れているとか。更に故郷ポーランドでも某メジャー・レーベルからリリースが予定され、香港や台湾でも交渉中。そもそもこのアルバムは、最初からアジアン・マーケットを視野に入れてたそうで、その点はまさに狙い通り。そしていよいよアメリカでの年内デビューも夢ではなくなってきたそうだ。

もちろん日本盤にはボーナス・トラック2曲を収録。ヴィヴィドのサンプラー『たまらなく、AOR』に一曲だけ先行収録したコトもあり、既に予約も集まってきている(スミマセン、サンプラーでは曲名を間違って紹介してたそうです。謹んでお詫びします)。

これだけ書くと、きっと「カナザワは大袈裟!」なんて声も。でもイイんです。それだけのポテンシャルを秘めた作品であることは、聴く人が聴けば分かるから。ただし、一聴してガツンとインパクトがあるというのではなく、飽きずに長く聴き込める、といったタイプの作品。自分の場合、大抵はライナーを書くのに繰り返し聴くと、そのあとしばらく聴かなくなっちゃうのが常だが、コレに関しちゃ未だによく聴いていて。それこそ、聴くほどに味わいが増してきている状態だ。

そんなわけで、【LightMellow's Choice】はリイシュー専門に非ず。まずはカナザワが自信を持って送り出すニュー・カマー、ジョージ&Gにご注目くださいっ!